184 魔族領6日目昼 魔王争奪戦準決勝 その1
今回は今井君
「皆さんついに待ちに待った!!魔王争奪戦準決勝戦です!!」
「「「「うぉおおおおおお!!!」」」」
会場の司会者のような男が一言アナウンスするだけで、会場は素晴らしくうるさくなった。
「おまえ誰が勝つと思う?俺は吸血鬼だな。」
「バカをいうな。鬼族だろ。」
隣の、魔族は誰が勝つかの雑談をしているのだろうか?あいにくだが、うちのバカ犬の勝ちで決定だからな。名前もちゃんと伝えたし?
「う~む。この組み合わせじゃと・・・おぬしのとこの小僧は勝つだろうな。相手の魔族も中々のようじゃが・・・あれは所詮は今回の魔将程度だろう。」
「前回も魔将とかいたの?」
「勿論ですよ。魔王と言えば魔将。と言われるぐらいの重役です。」
「大魔将みたなのは?」
「それは、今回の魔王様が初めてなさったことですよ。」
「儂もそう記憶しておる。」
「まぁ、どっちでもいいけど・・・。うちの青犬が勝つのかぁ~。」
「気のせいじゃなければ、昨夜お前と会った時よりもさらに強くなったと感じじゃな。お前まさかとは思うが・・・何らかの強化魔法をかけたわけではないだろうな。」
「そんなの知らねーよ。あいつが勝手に一段上っただけだろ。俺とあっただけで何をつかんだのかは知らんがな。エミーもよかったな、就職口がすぐそこまで来てるんだからな。」
「私はもう魔王軍には入りませんよ?あそこブラックですから。」
「うちの子が勝てばホワイトよ。」
「ダメです。そこまで言うなら一度体験してみろてもんですよ。」
「めんどいから、いいわ。」
「お前のとこの小僧の戦いはどうでもいいとして、こっちの対決のほうが気になるな。吸血鬼対鬼族か・・・正直、吸血鬼にこの時間はかなりきつい筈だが、さすがは儂も認める次期吸血王と呼ばれるだけのことはある。確かに弱体化はしてるようじゃが・・・あの強さか。」
「やめろよ。俺は魔眼使用してないんだぞ。何のためだと思ってんだよ。楽しむためだよ!!誰が本気でこんなの見物するんだよ。お前もどっちが勝つかわからないような状態で試合みとけよ。」
「なるほどな。そのような楽しみ方もありじゃな。そうしようか。」
「お前全く嫉妬とかと無縁じゃね?」
「嫉妬される側じゃからな。ハッハッハ!!」
このジジィは、嫉妬よりも殺意を向けられそうだが。吸血鬼のくせに、太陽大丈夫って時点で同族からの嫉妬を浴びるわけか。なるほどな。
「それよりも、あっちの鬼の人はすごいですね。赤鬼ですよ。鬼族でも強いっていう赤ですよ。」
「青じゃないのか?」
「青は希少すぎます。世間では赤が強いとされてます。鬼の他の色はマイナーなんで知りませんが。」
「そうじゃな、儂と戦った時の鬼族の魔王も赤じゃったな。と言っても、話にならんぐらいの弱さだったがな。今回ほどではないが。」
このジジィ絶対に弱ってないだろ。
「お。始まるみたいですよ。」
「準決勝2回戦、始めっ!!」
試合開始の合図とともに、鬼族の男が吸血鬼に詰め寄る。
「あの鬼は近接型のようじゃな。」
「遠距離型とかもあんのか?」
「戦闘スタイルが近接なだけだが・・・あの形状の剣は見たことがないな。」
「ありゃ、刀だな・・・日本刀と似たような感じだな。」
「にほんとー?それはどんな武器じゃ?」
「斬るとかは無茶苦茶に強い武器だと俺は思うけど・・・。」
「なるほど・・・それに、あの鬼は、相当の剣の腕を持ってると思うが。」
「あれなら、クビチョンパなんて余裕だと思うけど?あいつら殆ど生身じゃん。切り落とされるんじゃないの?」
「なるほどな。」
しかし、あの吸血鬼も半端じゃないな、まさに神速ともいえる、剣を躱し続けてるのだから。
刀が強いのは私の偏見です。




