179 王都生活27日目夜 メイドの会話
今回はマイティ
「今日は修行中にどこか行ってから心なしか顔色がよくないですよ?」
「私は常に健康のつもりですが。」
「職場仲間に隠し事するなんて・・・まさか、男でも作ったの?」
「違います。いえ、特に気にするほどのことではありませんので。二人は気になさらずに。」
エーアイさんが外に出て行った。
「ベラドンナさん。エーアイさんって絶対になにかありましたよね?」
「さぁね。ご主人様がいないから、寂しいだけじゃないの?それは、マイティだったわね。」
「違います!!」
この二人は私の読心術が効かないので本心はどう思ってるのか・・・もしくは、本心がこれなのかのどちらかだろうが、エーアイさんは本心を隠してるとは思う。
「怒った顔も可愛らしいわね。」
「そんなことありませんってば!!」
「はいはい。エーアイが機嫌悪いのは珍しいかもね。エーアイの機嫌を損ねるとしたら、ご主人様のことしかありえないけど・・・どこか行ったときに喧嘩でもしたのかもね。」
「エーアイさんがご主人様と?」
あいつがとても、エーアイさんに喧嘩を挑むようなバカには思えないが。
「まぁ、ご主人様ほどの人格者なら、喧嘩になるはずがないから、不本意なことでもしたんじゃないの?」
「よくわからないです。」
「そうね、あなたも最初にあったころよりも随分と強くなったんじゃない?今のご主人様なら倒せるかもね。」
「その言い方でしたら、別のご主人様には勝てないみたいな言い方ですよ。」
「あの人は仲間や友達に攻撃することをすごくためらうのよ。そこが私は好きなんだけどね。あなたもきっとご主人様の大切な人リストに名前は言ってるわよ。」
「ご主人様は敵にもやさしさを残して戦う人ですよ。」
「それがあのお方の怠惰ということなんでしょうね。それ以外にあのお方が怠惰な理由がわからないもの。」
「ご主人様は本当はどのくらい強いのですか?私にはさっぱりわからないのですが・・・。」
「エーアイと同じか、それ以上か・・・どっちにしても、ご主人様は全力を出さない人なのでよくわからないけど、本気出せば、エーアイもたおせるんじゃないの?エーアイは嘘つかないから、きっとご主人様の方が強いのは事実ね。」
「ご主人様が?エーアイさんより強いのですか?」
あいつがエーアイさんに勝てる未来が全く見えないぞ。
「あなたは知らないでしょうけど、ご主人様は無茶苦茶強いのよ。あなたは全力だす前にやられてるみたいだったけど。」
「あれでも全力じゃないのか・・・。」
「私も全力は見たことないけど。出来ないことを話すのはやめましょうか。」
「わかりました。」
「あなたはリリアナ様達と同じ感情をご主人様に持ってるでしょ?」
「持ってません。」
「隠したって無駄よ。ご主人様は気づいてるわよ。感が鋭いからね。気づいていても気づかないふりをしているのよあのお方は。」
「ベラドンナさんの方がベタ惚れしてるんじゃないですか?」
「大好きなだけよ、エーアイや私、他にもイーグルや、バカ犬ちゃんもご主人様によって作られたのよ。」
「バカ犬さんって人は知りませんが、イーグルって、赤羽根様のペットですか?」
「そうよ、私たちの生みの親が、ご主人様よ、あなたのほうが年上よ。」
「何言ってるんだか・・・私にはさっぱりです。」
「まだまだ、子供ね、私は最初はそんな感じだったけど、成長したのかもね。」
「まず第一に命を作るなんてこと不可能じゃないですか。命を作るなんて、最大の禁忌でもあると昔学校でも習いましたよ。」
「学校ね、私は知らないわ。あなた見たんじゃないの?ご主人様の幻術を。」
「幻術なら見ましたけど・・・すごくリアルな幻術でしたよ。本物に命令だしたりするぐらいの。」
「あれは、心を持たしてるのよ。それの応用で私たちを作ったのよ。」
「・・・。ご主人様ってすごい人だったのですか?」
「今更何を言ってるんだか・・・あなたはその片鱗を見ただけよ。全部知ってるのはエーアイぐらいよ。」
「エーアイさんとご主人様はどういう関係ですか?」
「心と体が繋がってる関係よ。」
「え・・・。」
「嘘よ、顔赤くしちゃって・・・心は繋がってるのは事実だけどね。」
結局この人の話からはご主人様もエーアイさんも何者か全くわからないまま時間が過ぎただけか・・・。
自分が何者かなんて誰もわからないことですよね。




