始まるフコウ
外から聞こえた、あの子の悲鳴。
これが僕の、不幸のはじまり。
悲鳴が、聞こえた。
彼は、本を読む手を置いた。
彼女は、窓の外を見て、いいなあ、と呟いた。
「い、いやああぁああ!!」
「!?・・鈴花?」
白池鈴花の悲鳴が聞こえて、僕はすぐさま、家の外に出た。
そこには、頭からどくどくと真っ赤な血を流して倒れている鈴花と、それを見て、本当に嬉しそうに笑う青菜さんがいた。
「っ!?す、鈴花っ!」
「ふふ、みてみて、西川くん。私、倒したよ。」
「え・・?」
「西川くんを脅かす、いらないモノを。」
なに、言ってんだよ。なんだよ、脅かすって。
「なに言って・・・それより、救急車を・・!」
「西川くんこそ、なに言ってるの。」
「え、」
「西川くんは私よりソレが大事なの嘘よね嘘だよね私のことの方が大事よね。」
・・・なんだよ、こいつ。
「ねえ、そうでしょう?ふふっ。」
・・・僕は、こうゆう人を何度も見た。昔、たくさん。
「・・・とにかく、家に入って。」
「うん!」
青菜さんを家に入れると、僕はすぐに、救急車を呼んだ。
警察は、呼ばなかった。
僕は、思い出したから。
青菜さんが、昔行ったところを。
こんなとき、とても冷静な自分が、怖くなった。