破壊と消失
きえる、キエル、消えていく。
私の・・・・。
あれ?・・・みんないない。
彼女の部屋には、大量の写真が散らばっている。
その写真のどれもが、マーカーで黒く塗りつぶされている。
彼女は、この広い、広い家に、一人きりだ。
私は今日から、高校生になる。
別に、周りのたくさんの他人のように、高校生活を満喫するなんて、微塵も思っていない。
ただ、私を引き取ってくれた叔母さんが、行きなさいって言ったから。
それ以外の理由なんて、ない。
だから多分、もうここにはこない。
入学式には、叔母さんがくるから。
私には、叔母さんしかいないから。とても、大切な人。
心配を、掛けるわけにはいかない。
でも、叔母さんだけが大切なわけじゃない。
たとえば、初恋の人、とか。
あの男の子のことは、本当に好きだった。
いまでも、好き。
あの男の子は、もういないけれど。
入学式が終わり、他人達は、ぞろぞろと振り分けられた教室に行く。
・・・気持ち悪い。
どうしてこんなに人間はいるんだろう。
こんなに、いらない。
・・・こうゆうこと、考えちゃいけないとは分かってる。
でも、なにか考えていないと、だめになってしまう。
あのときみたいに。
それから、自己紹介をして、となりの他人に話しかけられた。
「えと、よろしく。」
「・・・え?・・あ、・・よろし・・」
「?どうかした?」
「あ・・ああ・・。」
「えと・・」
「西川、くん・・・。」
私の中で、何かが壊れた気がした。