6.再びあの場所で
俺は海里と別れ、泉奈のことを考える日々を送っていた。
月日は流れ、交換日記も続いていたが、泉奈との距離は一向に縮まらない。
俺はどうしても彼女に会いたくなり、あの公園に呼び出した。
枯れ葉の舞う公園、どこか寂しげだ。
「潤さ〜ん、久しぶり」
彼女の弾むような声、それを聞き、俺の顔から自然と笑みが零れる。
たわいもない話が続く。それでも彼女は笑ってくれる。
幸せ…ずっとこんな時間が続いて欲しい…
「今日は楽しかったです。じゃあ、また会いましょうね」
「またな」
笑顔で泉奈を見送る。だが…伝えられなかった。
彼女のことを思えば思うほど、苦しくなる。
伝えたい…もし…叶わなくても、嫌われたとしても…
俺は面と向かって伝えるのが怖くなり、日記に書くことにした。
泉奈ちゃん、二人が出会って半年が過ぎたね。
桜の舞う公園で、初めて純粋な瞳で猫を抱く君を見て、俺は恋に落ちたんだ。
泉奈ちゃんが俺なんかに興味ないのは分かってる。
俺と泉奈ちゃんは単なる友達…だけどこの気持ちだけは伝えたかった。
嫌われるかもしれないけど、もし、この俺でいいなら、今度の日曜日、朝10時にあの公園に来てください。
そして、日曜日、俺はあの公園にいた。
半分諦めはついていた。振られても仕方ない。
10時を少し過ぎた。やはり彼女は来ない…
諦めていたとはいえ、初めて好きになった人…やはり悲しい…
俺の目から涙が零れ落ちる…拭っても、拭ってもあふれる涙
そして、俺の涙が涸れようとした時 「潤さん?」
振り向くと、どこか悲しげな目をした泉奈がいた。
「泉奈ちゃん…どうして泣いてるの?」
彼女は目をこすりながらこう言った。
「大切な人が泣いてると、私も悲しい」
俺は潤んだ目で、泉奈をじっと見つめた。
「…じゃあ…俺と付き合ってくれるのか?」
「…うん」
俺は嬉しくなり、思わす泉奈を抱いてしまった。
ずっとこうしていたい…もう二度と放したくない…