表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

2.初恋の予感

次の日も俺はあの公園へ行った。泉奈せな

「また会えるといいですね」

という言葉を胸に…

        昨日と同じ時間、また猫を連れた彼女が現れた。

彼女は俺を見つけると         

「うわぁ、また会いましたね」

        嬉しそうに笑う彼女に微笑み返す俺

        

「毎日お散歩してるんですか?」

「いや…昨日から…ここの桜を見に…」        

とっさに適当な口実を作ってしまった。

        

「へぇ、私もなんです。この公園の桜ってすごくきれいでしょ?だから春になるとお散歩に来るんです」

        少しずつ二人の距離が縮まってゆく…俺は今までにないような幸せをかみ締めていた。

                しばらく公園に通う日々が続いた。そしてあの日がやって来た。        

「もう…桜散っちゃいましたね」

        悲しげに桜を見つめる泉奈

        

「もうここには来れないですね」

        俺はとっさに彼女に尋ねた。

        「春しか来れないの?」

        彼女は葉桜になってしまった木を見つめ

        

「この子も私も…桜か好きだから…だから毎年、桜の咲く頃だけ来るんです」

        桜の咲く頃だけ…俺は泉奈の寂しげな瞳を見つめていた。

        

「せっかく潤さんにも会えたのに…」

        俺は泉奈と離れたくないという思いでこう言った。

        

「あ、あの、お、俺とお友達に…なってください」

        さすがに相手は中学生…付き合ってくれとは言えない…

        少し間を置き、彼女は不思議そうに言った。        

「私と潤さんはずっとお友達ですよ」

「…」

        俺が沈黙していると、思い付いたような泉奈の一言

        

「そうだ、交換日記しましょうよ」

「交換日記?」

        

「はい、私、男の人と交換日記するの夢だったんです」

        嬉しそうな彼女、それを見て俺の心が癒されてゆく…

        そして、俺たちは週に一回、この公園で日記を交換することを約束し、桜の散ってしまったここを後にした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ