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君と二人で 20

「昔、俺には大っ嫌いな奴がいたんだよ。」

勝手にベッドの上に寝転ぶ。

うわ!めっちゃふかふかだー。羨ましいぞ

「あいつは俺の事を気に入っていたらしくしつこく付きまとってきたんだ。

で、いつものように俺は嫌がって逃げまくってたある日…そいつに殺されかけたんだよ。

何が原因なのか分かんねーけど、どうやら怒らせたようでな。あの馬鹿野郎常にナイフを所持してやがって俺に向かって思いっ切り刺してきたんだよ。

まさか刺されるとは思わなかったからなぁ…油断してたから庇うことも何も出来なくてグサッとやられたわけ。結構深くまで刺さって危うく逝っちゃうとこだったんだよー。

あいつ程狂った奴は今まで見たこと無い。」

今でも覚えてる。絶対に忘れない。忘れられない。

「あ、まだその時の傷残ってるぜ。すっげぇ深くまで刺されたから。見る?」

笑いながら言うと顔を逸らされた。

「お前の事はどうでもいい。」

「ちょ、ひどっ」

まだ前置きなんだけど!

「ちゃんと話すから聞いて!」

一度考える仕草をしたがすぐに頷いてくれた。

「さっさと話せ。」

「りょーかいっ☆」

咳払いをした後ここへ来る途中何度も考え直したことを口にする。

「見られちゃったんだよ、刺されてるところを。

あいつもまさか智祈が来るなんて思っていなかったらしくすごく驚いていた。意識が朦朧としていたけどあいつが動揺してるのはすぐに分かった。ざまあみろって思ったね。

まだ幼かった智祈には人が刺されている光景は流石にキツいだろーな、幼い俺もそう思ったんだけど全然違った。

智祈はいつものように俺に接してきた。“かづきくん、どうしたの?その人誰?”って。

正直、あの時あいつなんかより智祈の方が何倍も怖かった。

近づいてきた智祈はいつもと変わらない笑顔で言ったんだよ。


…でも違った。

それを見る前の智祈とは別の奴になってた。

人が刺されて死にかけてるのを見て平気でいるやつなんてフツーはいないよな、やっぱり。

“どうしたの?何があったの?”そう言いながら倒れた俺の頬を撫でた。怖くて悲鳴をあげそうになった。でも恐怖で声なんて出せなかった。何とか声を絞り出して“逃げろ”って言ったんだけど…

振り向いた智祈が“この人がかづきくんをこんな風にしたの?”って言って握っていたナイフを奪ってあいつ目掛けて振りかざしたんだよ。

智祈が異常だってあいつも分かったんだろうな、奪われた瞬間我に返ってすぐに逃げていった。

その後の事は知らないけどこれをきっかけにあいつは変わった。」

ふぅ、と大きく息を吐く。溜め息ばっかすると幸せが逃げるから溜め息しないようにと思っても癖なのか…よくしてしまう。迷信かもしれないけどしたくない。

「そんでその時以降…」

再び話そうとすると頭がズキズキと痛くなってきた。

「智祈は知らないことがあると過剰に反応するようになった。」

数秒間目を瞑ると頭痛は治まった。

「急に智祈の顔色が悪くなったりしたのはそれの所為。

ま、元を辿れば俺の所為になるわけだが」

優くんを見ると表現しずらい、これ以上聞きたくなさそうな…暗い顔をしていた。普段の不機嫌な顔がもっと酷いことになっている。不愉快きわまりない感じ?

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