君と二人で 16
「すーぐるクンっ遊びっましょー!」
翌日、始発の電車に乗り朝の六時台に優くんの家についた。
「すぐるくんー!」
インターホンを押さずにわざと叫んで呼ぶ。きっとすごく嫌な顔をするんだろうな。そう思うと笑みが零れる。
しっかし…なかなか優くんが出てこない。何これ、まさかの放置?
俺の声が優くんの部屋に届かないのは分かりきっているがここには防犯カメラが取り付けられてるし音声を拾うことも出来る。
「ゆーうーくぅーん、俺放置プレイとか趣味じゃないから開けてよー!」
門をガシャガシャと揺らす。
数分待ってみたが物音一つしない。無視か…。ひでぇ
「もう勝手に入るからな!」
助走をつける為に門から距離をとる。
智祈に合い鍵借りれば良かった。
でも行くことが分かれば絶対に止められるからなぁ。智祈は誰かが自分の為が行動されるのが苦手だから。そんなところも可愛い。この謙虚さを誰かさんにも見習って欲しいよ、切実に…
「よしっ!」
俺の身長はるか上にある門を見上げて息を吐く。
ザッという地面を蹴る音がして数秒後、タンッと思い切り踏み切る。重力に逆らい体が宙を浮く。
いける!
門に手を突き柵を越えると体が前のめりに落ちていった。
やべぇ、着地に失敗する…っ!
咄嗟に受け身を取るとゴロゴロと数回転した後に止まった。どこも怪我をしなかったようで直ぐに立ち上がる事ができた。
てか勢いが良すぎてまじびびった。
「スグルくんの馬鹿野郎ッ」
叫ぶと携帯電話がメールを受信したのを伝えた。
『次スグルって呼んだらただじゃおかないからなシスコン野郎』
やれやれ、智祈にスグルって言われても普通に会話するのに…何だろ、この差は
てか見てたんならさっさと門開けてくれればいいのに。
「ユウくん短気過ぎるよ」
玄関に向かって歩くがまだ距離がある。建物が大きいから近くにあるように見えるが十分といえる程距離がある。てか嫌になる程遠い。
門から建物までにバスとかあったらいいのになぁ。広くすればいいってもんじゃない。家なんだから住みやすさを重視しないと。金持ちの家は皆こんなもんなのかと疑ってしまう。
知り合いの金持ちはいるけど変人一家だから変な暮らしをしているから論外だ。そもそも基本ホテル住まいだから家というより別荘と呼ぶべきなんだろう。あと塔とか。
今時塔は無いよな…どこの国の話だよって思う。
まじキチガ…変人。