あの方を手放して国が傾かないと思っているのですか?
最終エピソード掲載日:2026/03/12
五年間、私は誰にも知られず国を支えていた。
北部の飢饉も、南部の交易路も、東部の鉱山も。
全て王太子の名前で提出し、全て王太子の功績になった。
婚約破棄の日、私は一度も振り返らなかった。
泣く理由がなかった。恋心など、最初からなかったから。
領地に戻った翌週、王宮の書類棚が空になった。
代わりに書ける人間は、誰もいなかった。
私の元に届いたのは、かつて交渉の場で敵対した隣国の将軍からの手紙。
几帳面な字。的確な指摘。そして追伸に、不器用すぎる一文。
この男は、手紙では饒舌なのに対面では何も言えない。
好意を物資で送り、心配を護衛で示し、名前すら呼べずに言い直す。
国が傾いていく。
捨てた側が気づき始める。
私はもう、誰の裏方でもない。
数字しか信じなかった女が、数字では測れないものに出会う物語。
北部の飢饉も、南部の交易路も、東部の鉱山も。
全て王太子の名前で提出し、全て王太子の功績になった。
婚約破棄の日、私は一度も振り返らなかった。
泣く理由がなかった。恋心など、最初からなかったから。
領地に戻った翌週、王宮の書類棚が空になった。
代わりに書ける人間は、誰もいなかった。
私の元に届いたのは、かつて交渉の場で敵対した隣国の将軍からの手紙。
几帳面な字。的確な指摘。そして追伸に、不器用すぎる一文。
この男は、手紙では饒舌なのに対面では何も言えない。
好意を物資で送り、心配を護衛で示し、名前すら呼べずに言い直す。
国が傾いていく。
捨てた側が気づき始める。
私はもう、誰の裏方でもない。
数字しか信じなかった女が、数字では測れないものに出会う物語。
第1話 国王の嘆き
2026/03/12 12:03
第2話 空白の書類棚
2026/03/12 12:04
第3話 光る文字
2026/03/12 12:04
第4話 敵将の手紙
2026/03/12 12:04
第5話 空っぽの備蓄庫
2026/03/12 12:04
第6話 三年ぶりの眼差し
2026/03/12 12:04
第7話 花と数字
2026/03/12 12:04
第8話 交易路の沈黙
2026/03/12 12:04
第9話 二人の設計図
2026/03/12 12:05
第10話 宰相の椅子
2026/03/12 12:05
第11話 名前
2026/03/12 12:05
第12話 選択
2026/03/12 12:05
第13話 光と影
2026/03/12 12:05
第14話 裏方の卒業
2026/03/12 12:05
第15話 はじまりの条約
2026/03/12 12:05