黎明国戦記
最新エピソード掲載日:2025/12/11
暗く淀んだ坑道国家。
火床の赤だけが生命の証のように揺れる地下で、ひとりのドワーフ鍛冶師は、今日も黙々と鉄を打っていた。
だが、彼の心にはもう長いあいだ煤のような倦怠が沈んでいる。
技が錆びたわけではない。
誇りを捨てたわけでもない。
ただ――「この鉄は、いったい何を救うのか?」
答えの見えない問いが胸に重く眠り続けていた。
そんなある日。
坑道の奥で聞こえるはずのない“赤子の泣き声”が響く。
暗闇に置き去りにされていたのは、
この国に存在しないはずの――人間の赤子。
ドワーフの髭を掴んで笑うその幼子は、
どこから来たのか、なぜここにいるのか、誰にも説明できない。
ただ、その出会いを境に、鉱山国家の運命は静かに狂い始める。
森に生きるエルフたちは、長年対立していたドワーフの変化に気づき、
“死の大地”と呼ばれた不毛の荒野では、かすかな息吹が芽吹き始め、
外界の大国――帝国は、三つの種族が結びつきつつある気配に危機を覚え、軍靴の音を響かせる。
それはまだ闇の底の小さな火種にすぎなかった。
だが、のちに“黎明国”と呼ばれる新たな大地の誕生も、
帝国と三種族を巻き込む大戦の始まりも、
すべてはこの赤子の泣き声から始まったと言われる。
荒廃の大地は光を取り戻すのか。
三種族は手を取り合うのか、それとも滅び合うのか。
鍛冶師は鉄を打つ意味を見つけるのか。
そして――
坑道で拾われた小さな命は、世界に何をもたらすのか。
夜明け前の混沌が、静かに動き出す。
これは、闇を割って国が生まれる“黎明”の戦記である。
火床の赤だけが生命の証のように揺れる地下で、ひとりのドワーフ鍛冶師は、今日も黙々と鉄を打っていた。
だが、彼の心にはもう長いあいだ煤のような倦怠が沈んでいる。
技が錆びたわけではない。
誇りを捨てたわけでもない。
ただ――「この鉄は、いったい何を救うのか?」
答えの見えない問いが胸に重く眠り続けていた。
そんなある日。
坑道の奥で聞こえるはずのない“赤子の泣き声”が響く。
暗闇に置き去りにされていたのは、
この国に存在しないはずの――人間の赤子。
ドワーフの髭を掴んで笑うその幼子は、
どこから来たのか、なぜここにいるのか、誰にも説明できない。
ただ、その出会いを境に、鉱山国家の運命は静かに狂い始める。
森に生きるエルフたちは、長年対立していたドワーフの変化に気づき、
“死の大地”と呼ばれた不毛の荒野では、かすかな息吹が芽吹き始め、
外界の大国――帝国は、三つの種族が結びつきつつある気配に危機を覚え、軍靴の音を響かせる。
それはまだ闇の底の小さな火種にすぎなかった。
だが、のちに“黎明国”と呼ばれる新たな大地の誕生も、
帝国と三種族を巻き込む大戦の始まりも、
すべてはこの赤子の泣き声から始まったと言われる。
荒廃の大地は光を取り戻すのか。
三種族は手を取り合うのか、それとも滅び合うのか。
鍛冶師は鉄を打つ意味を見つけるのか。
そして――
坑道で拾われた小さな命は、世界に何をもたらすのか。
夜明け前の混沌が、静かに動き出す。
これは、闇を割って国が生まれる“黎明”の戦記である。
第1話 暗がりに響く泣き声
2025/12/02 00:36
第2話 迷いと相談、坑道の夫婦
2025/12/02 00:42
第3話 赤子と坑道と静かなざわめき
2025/12/02 00:47
第4話 坑道国家のざわめきと、始まりの兆し
2025/12/02 00:48
(改)
第5話 赤子の体と、煤まじりの空気と
2025/12/02 01:13
第6話 坑道の国について気づいたこと(前編)
2025/12/02 22:00
第6話 坑道の国について気づいたこと(後編)
2025/12/03 22:00
第7話 コークスを作ろう
2025/12/09 21:00
第8話 燃える黒石と密閉炉
2025/12/10 22:00
第9話 黒い火と消えた光
2025/12/11 22:00
第10話 エルフとドワーフの、静かな断層
2025/12/11 22:00