ニセモノ「ハチの巣」、蜂対策に効果があるか?
六月のある日。
雨上がりのベランダで、私はとんでもないものを見つけた。
(アシナガバチの巣だぁぁぁぁ──!!)
手すりの内側、プランターの陰に行き来するのは、足の長い蜂たち。
一匹じゃない。数匹が小さな巣のまわりをいそいそと行きかっている。
待って、一体いつから?! 緑に隠れて、気がつかなかった。
大慌てで洗濯物を部屋に戻し、窓の中から様子を伺う。
ついで検索。どうやって駆除すればいいんだ……!
女王バチ一匹とは違い、もう働きバチが生まれている。何匹もが、巣のまわりで盛んに活動。
ネットには、「六月以降の"ハチの巣"には手を出さず、業者に任せろ」と書いてある。
えぇぇぇぇ……。業者を呼ぶとなったら、ベランダに続くリビングその他、各部屋を片付けなければならない。(←普段からキチンとしている方には無縁の悩み)
何より知らない人を、基本、家には入れたくない。
出勤してる主人に「ハチの巣発見」のメールをし、青ざめながらよく効く殺虫剤を検索したり、そんな昼を過ごして夜。
帰宅した主人がサクッと武装して、"ハチの巣"を叩き落した。
……?
詳しく書くと、日が落ちてからハチの巣に蟻用スプレーを噴射し、ハチが弱って飛び去ったところで、傘を使ってハチの巣を落とす。そのまま密閉容器に入れて外のゴミに出した。
…………???
よく……、わからないけど、たぶん体感時間5分か10分で、私が半日悩んだハチの巣案件はあっさりと片付いたのである。えっ、旦那すごい!(※危険なので真似しないでください)
"戻りバチ"を用心して、数日様子を見るけれど。
我が家のベランダには平和が戻った。
良かった!!
そして今後の対策をしようと思い出したのが、ニセモノのハチの巣。
アシナガバチが巣をつくらないよう、ダンボール紙などを丸めてスズメバチの巣を模し、営巣されそうな場所に吊っておくという手法。
ネットで幾度となく見かけ、「簡単そうでいいかも」と思っていたあの技を、今こそウチでも実施すべし!
そういうわけで私は、通販で届いた茶色の袋をぐるぐると丸め、スズメバチの巣っぽい塊を工作した。
ベランダの物干し竿に吊り下げる。
他の人が見たら「なんだ、あれ」状態の物体が吊り下げられている様は間抜けだが、きっとまあ察してくれるだろう(希望的観測)。
その後、たまにハチを見かけることはあったが、特に問題なく過ごし。ニセモノのハチの巣効果はわからなかったけど、「たぶん効いてる」と思ったまま数日が経った。
後日。突然の夕立があった。
激しく降る雨。
夏にはよくあること、と思いながら外を見ていると、窓のところにアシナガバチが飛んで来た。
「!」
そのハチは。
私が作った"ニセモノのハチの巣"にスッと留まると、それを雨避けに、丹念に身体の水滴を拭いだした。すごくホッとして、寛いだ様子で。
(私が作ったソレは、スズメバチの巣のつもりなんですが? まったくハチの巣認識されてない!)
その後アシナガバチは、ニセハチの巣でゆったりと翅を休め、雨が止んだ後に飛び去って行った。
オ役ニタテテ、何ヨリデス……(白目)。
ニセハチの巣が、その後ゴミ箱に直帰したことは言うまでもない。
検証結果。
【ニセハチの巣、下手が作ると効果ない! どころかハチの休憩所になるかも知れない】
今後もし、アシナガバチに困ってる方に出会ったら、私はそう伝えたいと思う。