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誤解とけ団子もらって肥えてゆく
ここで終わりです。
「悪食な《ネコマタ》だ」
「まあ、なんでも食う」
「喉につまらせて、このババより先にあの世にいかないようにな」
「まあ、伝えておくさ」
それから誤解はとけたようで、オウメばあさんはそれからトメヤにいつく黒猫のことを、《ネコマタ》とはよばなくなり、街でみかけたときに、おまえさま団子をくうんだって?と声をかけてきたらしい。
黒猫がすまして、みゃあ、とこたえると、それからときどき、お月見でもないのに、ヒコイチに団子をわたすようになった。
黒猫用の団子は小さくて、ヒコイチには、串に五つさしたのを分けてくれる。
ときどきそれに、みたらしあんもつけてくれるので、トメヤにいつく《黒猫》は、さらに悪食になって、このさき、口も腹も、肥えてゆくばかりのようだ。
目をとめてくださったかた、おつきあいくださったかた、ありがとうございました!




