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めがきく
どうにもこのばあさんは、そういうことに目がきくようだ。
ダイキチとおなじように、死んだ者がみえたりするのだろうか?
そんなことを考えながら、大福をのみこみ、手についた粉を土間にはらう。
洋館の中の部屋ではおこられるそれも、ここでは許されるようで、ヒコイチは板の間にあがりこみ、勝手にお茶を継ぎ足した。
「 ―― ばあさん、ありゃあよ、 《ネコマタ》とは、ちょいと違うんだ。 もしかしたら、しゃべってるのをきいたのか?」
いや、きいてはねえが、わかるさ、と年寄はフキ(蕗)をザルにあげた。






