48/52
おきかえれば
「 だって《ネコマタ》のことは、・・・オタキさんが《つくりばなし》だっていったんだろう?」
「 《つくりばなし》のわけなかろうて。 ・・・あの団子屋で、大旦那さんと《奥様》があいびきしとったお茶屋の『しりあい』からきいたとはなしたのは、きっと《ネコマタ》からきいた話で、あのはなしの『大旦那さま』を『若番頭さん』におきかえてみりゃ、筋はとおるわ。 あんときのオタキさんは、ほんとうに殺したのは『若番頭さん』だとわかっておって、黙っとることにしたんじゃろが、男のほうははじめから、オタキさんを裏切る腹積もりだったんだわ」
「ああ。・・・『なげぶみ』か・・・。それも、《ネコマタ》がみてたっていうのか?」
ヒコイチは顔をしかめ、カブに箸をのばす。
ばあさんはようやく自分のぶんのお茶をいれ、ヒコイチのむかいにすわった。




