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首を
残虐な表現あり。ご注意を
それからは、おとながたくさんでてきて、火消しがでばって、勢いのあった火も朝方までには消え、小間物屋はもらい火もせずに済んだのでオウメを手厚くあつかってくれ、役人に仔細をきかれるときにも、小間物屋の奥様がついてきてくれた。
オウメはただ、震えながら、いつものように眠っていたら、《旦那様》の叫び声がして、こわくなったので外へ逃げた、と役人へつたえ、それはそのままうけとられた。
なにしろ焼けた店の中からみつかった《旦那様》は、焼け死んだのではなく、頭がとれそうなほど首がひどくやられたことで、死んだようだ。
すこし前には、この男の妻が橋から女中に落とされて死んでいる。
その女中はいままだ、牢の中で ――― 。
―――――――
「 殺されとった」
「え?」
フキ(蕗)を口にいれようとした手をとめ、ヒコイチはばあさんの顔をみた。
今日でおわります。




