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突き飛ばしたのは
「 オタキさん、どういう、」
「 あの女を突き飛ばしのは、若番頭・・・《旦那さま》だよ。 あの女はね、けっきょく、大旦那様と縁切りしたくないのが本心らしくて、このさきもあの茶屋で大旦那さまと会い続けるつもりだったのに、若番頭さんの方が、がまんできなくなっちまったんだ。『あんなじじいともう会うのはやめてくれ』ってとりすがったところを女に突き倒されて、腹をたてて、そのままあの橋から、あいてが落ちるのをねらっておもいきり突いたのさ」
オタキは両手を突くように前へのばした。
オウメは、それにおされるように、また、牢屋の格子からはなれる。




