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《若番頭さん》との仲
ききたくない、といおうとしたオウメよりさきに、オタキが「 あたしと、若番頭さんとはね、」と、はなしだす。
「 ―― 若番頭さんとは、店にはいってすぐに、《そういう仲》になっちまってねえ」
かわいた声で、ねっとりした目をむけてきた。
「 金勘定だけうまくって、世渡りが下手なのはすぐにわかったから、ちょっと、男としての世渡りのしかたをおしえてやろうと思ったのに、 ・・・いつのまにか、こっちが言いくるめられるようになっちまってねえ・・・」
まず、大旦那のお供で唄の稽古にかよっていたのが、若番頭だった。
選ばれた理由はもちろん、金勘定いがいのことに疎く口はかたいし、若いがお師匠にも色目をつかいそうもないと大旦那がおもったからだ。
オタキと添わせてしまおうと大旦那が口にしたのもこの頃だが、どうかときかれた若番頭は、まだ一人前にもなっておりません、と断った。




