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牢屋へ
オタキがとじこめられていたのは、男の罪人がいるのとは離れたばしょにある建物だったが、牢のつくりは同じだと、案内してくれた役人が教えてくれた。
こどもだからか、世話になった礼をしたいと握り飯をみせると、しかたなさそうに、すぐここまでとおしてくれた。
暗くて陽のひかりもあまりはいらない建物のなか、木の棒がはまった牢屋がよっつある。ここにはいまあの女しかいないといいおいた役人は、おわったらよべ、とむこうへいってしまった。
おそるおそるすすみ、オタキさん、と小声でよんでみる。
板の間の隅にいた影がうごき、「 オウメちゃんかい? 」とささやくようにきかれた。




