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盗んだものを
《旦那様》が、いえそれはもう、といつもの小さな声でこたえている。
「 ―― それは、めぐりあわせというものでございますから、若旦那が気にやむようなことではありません。 同じ家にいたのに、オナツとオタキのことに気づけなかったわたくしがわるいのです・・・。あの日も、オタキが店をぬけでてオナツを橋からつきおとして帰ってきているなど、まったく気づけませんで・・・」
「女の嫉妬は男にはわからないと、大旦那様がよくおっしゃっていたが、ほんとだねえ。 オタキの荷物から、ぬすんだものがいろいろ出てきたんだって?」
「ええ、わたしがオナツに買ってやった櫛やかんざしが、いつもどこかへなくなるなんていうのを、間に受けていなかったのですが・・・、すべて、オタキの行李の中から・・・」
行李の中?




