最後まできくか
ここで半分です
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「・・・役人に、ばあさんが言ったのか?」
板の間であぐらをかくヒコイチがいやそうにきくのに、ばあさんは歯のないくちをあけて、かかとわらい、このババがいうわけないわ、と厚揚げを煮ているなべに、切りそろえたフキをいれた。
「じゃあ、なんで捕まった?」
「なげぶみがあったんだと」
「・・・『なげぶみ』?」
「知らんのか?手紙を石にまきつけてな、よませたい相手のいるところへ、ほうりなげる」
「いや、だってそりゃ、だれが投げたかもわからねえんだろう? 書いてあることだってほんとうかどうか・・・」
「だから、そのためにお役人が調べるんじゃろ」
「 ・・・ばあさんやっぱり、そこで言ったのか?」
「いうてねえ。 ・・・最後まで、だれにも言わんかったが、・・・いま、こうしてヒコさんにはきかせてる。 ―― ・・・最後まできくか?」
フキがつゆにつかるように厚揚げをうごかした箸を、鍋のふちで、とんとんとたたく。
「 まあ、きくけどよ・・・」
もうすでに、ヒコイチの首のうしろが、ぞわそわとしはじめていた。
―――――――
あともう半分。みじかいはなしです。。。




