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こんどはオタキが捕まった
「あたしたちは、若番頭さんに雇われてるんだから、このままだよ。 あんたは、・・・へいきだよ。《奥様》だってこれからもっと、《旦那様》にふさわしいひとがくるだろうから、それまでいすわってやればいいのさ。 あたしから、《旦那様》にいってやるから、へいきだよ」
オタキは、ひどく楽しそうに、自信ありげに着物のあわせをたたいてみせた。
オウメはそのオタキの顔をみて、なぜか、『あの』ときの《奥様》をおもいだした。
「ほら、はやく食べちまいな。また、落とすんじゃないよ」
「うん」
せかされてかじりとった団子をかみながら、いまオタキにいわれた言葉に、なにかがよぎった気がしたが、お茶で口のなかのものをのみこんだときにはもう、忘れてしまっていた。
そうして、
大旦那さまが帰されてからしばらくして、 ―― こんどは、オタキが捕まった。
『 ・・・・おぼえてろ・・・ 』
あのときのオタキの声が、耳によみがえった。
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