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違うと言ってる
あの唐傘屋の大旦那は、自分で囲った女を橋から突き落としたらしい
「 ―― でも、大旦那様はちがうって、若旦那様にもいってるって」
オウメはゆうべ、《旦那様》である若番頭のところに、大番頭さんとやってきた若旦那が、「おまえにはすまないとおもってる」と謝っているのを廊下できいていた。
「そりゃあ、殺しちまったんだから、こわくて認められないさ」若旦那だって大番頭さんだってわかってるよ、とタキはもう一本の団子をとりあげた。
「・・・あたしたち、まだ置いてもらえる?」
オウメはただ、このさきが不安で、まだ団子に手もつけていない。
家には弟や妹が五人もいるのだ。




