20/52
線香をそなえ団子食う
――――――
「 はじめっから、大旦那様はあの女にそそのかされて、新しい店と若番頭さんを、あの女のために、用意したのさ。 それなのにあの女、大旦那さまをきりたがったんじゃないかねえ。それで言い争いになって、あの橋のところでもめて、大旦那様がおんなをつきとばしたのさ」
オタキは団子屋の縁台で、串をふりながら口へはこんだ。
《奥様》が橋から落ちたとき、大旦那様はちかくの茶屋で《奥様》とかくれてあっていて、その帰りに橋からおちたとあって、大旦那様は次の日も帰ってこられず、噂はあっという間にひろがって、両方のお店をあけていることもできずに、戸をたてて、使用人は家にいるようにいわれたが、オタキは奥様が落ちた橋のたもとに線香をそなえたいといって、オウメをつれて出てきていた。




