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捕まったのは大旦那
オウメはお役人にきかれたことに素直にこたえ、いつも奥様を団子屋でまっていたとこたえたが、溜めてある小遣いのことはだまっていた。
オタキはもちろん、奥様がどこにいってるか知らなかった、とこたえ、自分はオウメをさがしにゆくまでずっと家と店先を行ったり来たりしていた、とこたえたのがみとめられ、二人はすぐにかえされた。
帰されなかったのは、大旦那さまだった。
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「おおだんな、って・・・やっぱり、きれてなかったのか・・・」
スジと皮をむいたフキ(蕗)を水にさらしながら、ヒコイチがうなる。
ばあさんは七輪の上に小鍋をのせ煮汁をつくり、先に置いてあった厚揚げをきりはじめる。
「 ヒコさんでも、そうするかね?」
「おれかい?・・・いやア・・・、だって、その新しい店の若い番頭さんが、旦那なんだろう?・・・まさか、はじめっからそのつもりで?」
「オタキさんはそう言ってたさ」
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