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ほっとしたのに
オウメは、謝ったらいいのか、どうすればいいのかわからないまま、立っている。
すると、ほう、と息をはいたオタキがさきに、わるかったね、と謝ってきた。
「あたしでも、わたされた小遣いならしまっておくよ。 ・・・若番頭・・・《旦那様》はね、みならいのときから知ってるもんで、なんか心配でさ。たしかに大番頭さんにたのんだけど、泣きついたりなんかしてないよ」
からからと、いつものようにわらう。
ほっとしたオウメは、うなずいて、袋をまた行李の底にしまった。
「 ―― で? 」
「 っひ っ 」
首のうしろからの声に、のどがひきつった。