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呼び名


 そのひと月あと。


 金勘定ははやくてまちがいもないが、おとなしい性分であまり商売人むきではないと大旦那におもわれていた男が、いきなり新しい店をまかされることになり、それといっしょに、


  ―― 女もまかされた。






「 ―― そんな女を奥様だなんてよべるかい」


「よんでるよ」


 オウメはここに来た日から、店の『旦那様』と『奥様』にあいさつをして、教えられたとおりによんでいる。



 オウメのこたえに、だからそれは口だけさ、と眉をあげてこちらをみかえしたのは、オウメより先にこの店で女中をしているタキという女だ。



「あたしは心の底からそう呼んだことなんか一度もないよ。あんな女おしつけられた《若番頭さん》・・・《旦那さま》がかわいそうだから、まあ、おとなしく奉公してるけどさ」




 オタキはオウメより十はとしが上のはずで、ほんとうは元の店にいたかったのに、大番頭さんにたのまれて、こちらの店にやられたのだと、しかたなさそうにはなしていた。

 いつも、むかしの大旦那さまはよかった、店も若旦那と商売をしてたときはしっかりしてたのに、とくちぐせのようにこぼしながら、働いてる。




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