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怖がり屋さんは失せもの探偵  作者: Suzugranpa
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第74話 大きな失せもの

「急いで食べちゃおう。で、お家に帰って真実を聞かなきゃ」


 未来は気を取り直したように顔を上げた。千沙は気を遣う。


「なんか、ごめんね未来。あたしだけいい思いして」

「んなことないよ。千沙は今までいろんな人の失せものを探して幸せにして来たじゃない。だから千沙の所に順番が回って来たのよ。それに私もね、実は」


 未来は手を組み合わせて頭上に上げた。


「留学、延長したの」

「え、延長?」

「そう。高校卒業までいることにしたの。一応試験にも受かってOKが出た。大学もそのままこっちで行くかも」

「えー? じゃ、北蘭高校には戻ってこないってこと?」

「そうね、転校になるみたい。だから一度戻って手続きとか挨拶とかはするよ」

「そうなんだ」

「だからさ、さっきのマダム・シルヴィーの話が本当なら、今度は私がパリで樹里さんの探偵助手をやるよ。千沙みたいに上手く出来るかどうかは判らないけど」


 それを聞いた千沙はリュックからごそごそと財布を出した。そして小銭入れから1枚のコインを摘み出して、未来の掌に載せた。


「わ。また1さちだ」

「うん。もう1枚未来に進呈する。未来ミク未来みらいに幸せが来ますようにって」

「ありがとう…」


 未来はコインを握りしめ、また俯いて目にハンカチを当てた。


+++


 ハンバーガーでお腹一杯になった三人は、河畔の散歩を切り上げて、美容室 ラ・ミストラルに急ぎ戻った。どやどやと入ってきた中にマダム・ルフェーブルが混じっているのを見て、スタイリストたちはいささか驚いている。ガヤガヤしている所へムッシュ・ヴェントが降りて来た。


「あれ、シルヴィー、どうしたんです? 何かお気に召さないところでも?」


 マダムは店長を見上げる。


「どうしたって、さっき、チサにあなたのプランを報告して差し上げたところよ」

「プラン?」

「ええ、ここのお店の店長のこと。チサは自分の父親のことを知らなかったわよ。どう言う事?」

「ええー?! 秘密にしてたんですよ! 突然長崎に帰って驚かそうと思って、セリフまで考えてたのに! 父親がお客さんのマダムに先を越されるって、なんてこった!」

 

 店長は頭を抱え呟いた。


「これだからパリジェンヌは何歳いくつになってもお転婆って言われるんだよ…」

「あら失礼ね」

「シルヴィーだって樹里に行方を明かしてなかったでしょ?」


「まあね。いつかのサプライズってのを狙ってたからね。ムッシュと同じで」


 マダムはチサに向かってウィンクをして見せた。


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