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怖がり屋さんは失せもの探偵  作者: Suzugranpa
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第43話 好青年

 とは言うものの、千沙は大人の男性に恋愛の話を聞くのは気が引けた。男性の心情など元々解らない上に、今回の迷走案件は尚更解らない。そもそも若い男性と1対1で会うのも気まずい。こういう時は…


 千沙は朔にLINEを入れた。


『依頼で大人の男性に彼女さんへの気持ちを聞かなきゃいけないけど、一緒に聞いてもらえませんか? 男の人の気持ちが良く解らなくて』


 朔からは速攻でOKの返事が来た。千沙は小巻に教えて貰ったアドレスにメールを入れてアポイントを取った。勤務の都合で8月の終わりの日曜日、長崎駅ビルのティールームでの待ち合わせになった。小巻の時と同じく、千沙はネッカチーフを輪にしてテーブルに置き、朔と並んで座る。暫くして若い男性が店内に入って来た。キレのある動きで周囲を見回すと、千沙たちのテーブルのネッカチーフを見つけやって来る。


「初めまして。水取さんですか?」


 千沙と朔も立ち上がる。短髪で日焼けした精悍なイケメンである。千沙は少しドキリとした。


「は、はい。水取千沙です。こちらは同級生の長沖君で、えっと、男の人のお話伺うのは慣れてないので一緒に来てもらいました」


 青年は笑顔を見せる。


「仲良さそうなお二人ですね。そうそう、杉原小巻がお世話を掛けたみたいですみません。僕のせいですよね。仕事の都合で名乗れないんですけど申し訳ありません」


 そのままにこやかに着座し、メニューを手にする。そして、


「お二人とも、甘いものは大丈夫ですか?」

「は、はい」

「じゃあ…」


 ベルを押して青年はアップルパイのティーセットを3つオーダーした。


「実は僕が好きなんです。職業柄あまり太れないんですけど、これ食べるためにトレーニングしているようなものでしてね」


 爽やかに笑う。こんな好青年が何故小巻さんを泣かせるのか、千沙には理解できない。やがてパイと紅茶が運ばれて来る。


「ダージリンは苦みがあるので、アップルパイと丁度合うんです。苦いようでしたら砂糖で調節して下さい」


 青年はにこやかに解説する。高校生の二人は大人の余裕に巻かれっ放しだ。


「ホントだ。合う。そのままがいいよ」


 パイとダージリンティーを口にした朔が千沙に言った。青年は満足そうに微笑む。


「じゃ、本題に入りましょうか。小巻が水取さんに泣きついたと見ましたが違いますか?」


 千沙は驚いた。見透かされてる。


「そ、そうです。あの、お付き合いを止めようって言われてショックを受けてらっしゃって、理由が判らないって」

「でしょうね」


 青年はカップにミルクを足してダージリンをまた一口飲む。


「僕は小巻のこと、今でも愛しています。大切です。彼女のことだけは何が何でも守りたい。一命に代えてもね」


 ストレートな告白に千沙も朔も先制のヒットを打たれた気がした。



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