10 勇者と聖剣
後書きに【大切なお知らせ】があります!
「ファリア……?」
「私は君の相棒だ。君を見捨てると思ったのか?」
ファリアが俺を見つめる。
その口元に笑みが浮かんだ。
優しい、微笑みだった。
「正直言って……君が魔族になると決断したときは複雑な思いだった。私にとって魔族は憎むべき敵だ。君がさまざまな事情から魔王国に身を寄せ、魔王を妻とした現在でも、その気持ちは変わらない」
ファリアの表情は苦い。
きっと、こいつの中では色々な葛藤があるに違いない。
なんといってもファリアは――聖剣ファリアレイダはすべての『魔』を討つために戦女神リゼルが作りだした剣だからな。
「立場や環境は変わった……私にとって、あまり心地よいとは言えない方向に。だが、君自身は何ら変わっていない。違うか、シオン?」
「ファリア……」
「虐げられ、傷つけられている者のために剣を振るう。体を張る。そう、先ほど君が過去の映像で目にした女騎士のように」
「……そうだな。俺はあの人みたいになりたくて、剣を振り始めた」
俺はファリアに微笑んだ。
「今までも、これからも――それは変わらない。たとえ人間ではなくなっても、俺は守るべき者のために剣を振るい続けるよ。これからもずっと」
「ならば、その剣は――君が振るう『守るための剣』は私でありたい」
「ありがとう、ファリア……!」
俺はファリアの手を取り、感謝を告げた。
見捨てられても仕方がないと思っただけに、彼の言葉は本当にありがたかった。
「やっぱりお前は、俺の大切な相棒だ」
「当然だろう。さあ、私を手に取り、戦え」
「ああ」
俺は聖剣を手にした。
「――なるほど、それがお前たちの答えか」
天使がうなる。
「ならば、もはや何も言うまい。女神リゼルの命に従い、ここでお前たちを討つ。しかる後、魔王と魔界を滅ぼすとしよう」
「討たれるわけにはいかない。そして魔王と魔界も守る」
俺は天使を見据えた。
「俺の妻は――俺がこの手で守る!」
【大切なお知らせ】
書籍版が4/25発売予定です。今までの僕の書籍化作品と違い、今回はウェブ版から内容が大幅に変更され、新エピソード満載です! とはいえ、基本コンセプトの勇者シオンと魔王ヴィラがイチャラブする部分などはそのまま……というかラブ度300パーセント増しくらいになっているので、ぜひよろしくお願いします~!
広告の下にある書影から各販売サイトへ飛べますので、ぜひぜひ!
【読んでくださった方へのお願い】
面白かった、続きが読みたい、と感じた方はブックマークや評価で応援いただけると嬉しいです……!
評価の10ポイントはとても大きいのでぜひお願いします……!
評価の入れ方は、ページ下部にある『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』のところにある
☆☆☆☆☆をポチっと押すことで
★★★★★になり評価されます!
未評価の方もお気軽に、ぜひよろしくお願いします~!







