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4 進化のダンジョン

後書きに【大切なお知らせ】があります!

 本当に魔族になるのか。


 人間であることを捨てるのか。


 そして、それをヴィラに相談しなくてもいいのか。


 ここに来るまで散々悩んだ。


 けれど――結局はヴィラに何も言わないまま、ダンジョンに入ることを決断した。


 言えば、たぶんヴィラは反対するだろう。


 俺が人間から魔族になることを選べば、ヴィラはそれを『俺が無理をしている』と判断するんじゃないだろうか。


 もちろん、葛藤はある。


 けれど、最終的には自分で選んだことだ。


 俺は彼女と同じ時を歩みたい。


 そのためには人間のままでは絶対に無理だ。


 同じ寿命を持つ生命体になれば、彼女とともに生きていける。


 これから先も、ずっと寄り添って生きていける。


 だから――俺は魔族になる。




 俺は実体化したファリアとともにダンジョン内を進んだ。


 しばらくして前方から地響きが聞こえてくる。


「モンスターか」


 俺は聖剣を構えた。


 案の定、巨大なトロールが突進してくる。


「【戦刃斬(ルビ:リゼルブレード)】」


 ざんっ!


 聖剣のスキル一閃。


 俺の振るった一撃が、奴をあっさりと両断した。


「トロールソルジャーか」


 死体を見ると、どうやらトロールの上位種のようだ。


 分類でいえばAランクのモンスター……だけど、俺にとっては敵じゃない。


「このまま進もう」


 もちろん、油断はしない。


 この先にもっと強力なモンスターがいるかもしれないし、ダンジョンを進めば進むほど、俺の体力は消耗していく。


 そのときにまたモンスターが出たら、今ほど楽勝じゃないかもしれない。


 慎重に、確実に。


 このダンジョンをクリアして、俺は魔族になるんだ。


「待っていてくれ、ヴィラ……」


 俺は愛しい女の名をつぶやき、ひたすら進んだ。


 俺は魔族になる――。


 その思いは、一歩一歩進むごとに大きくなっていく。


 葛藤が徐々に消えていく。


 かつて勇者として魔王軍と戦っていたころの俺なら、『魔族になるなんておぞましい』と感じただろう。


 けれど今は――。


 だって、ヴィラと同じ種族になるってことだもんな。


 人間であり続けることに未練はある。


 でもそれをはるかに上回るほどに……俺はヴィラと一緒に歩んでいきたいんだ。


 そして、その願いは、俺が魔族になれば叶うんだ。

【大切なお知らせ】

書籍版が4/25発売予定です。今までの僕の書籍化作品と違い、今回はウェブ版から内容が大幅に変更され、新エピソード満載です! とはいえ、基本コンセプトの勇者シオンと魔王ヴィラがイチャラブする部分などはそのまま……というかラブ度300パーセント増しくらいになっているので、ぜひよろしくお願いします~!

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