15 俺の決意をヴィラに語る
俺とヴィラ、アーニャは王都まで戻ってきた。
ライゼルは連行し、地下牢に入れることになった。
暴風王の企みについて、彼から尋問することになる……とはいえ、今はまず休息だ。
で、俺とヴィラは自室で二人っきりだ。
「色々とありがとう、シオン。助けてくれて――」
「君が無事でよかったよ」
……似たようなやり取りはすでにしているんだけど、今は二人っきりなのであらためて、という感じだった。
ヴィラは全身から『これからイチャつきましょ』オーラを放っている。
俺も異存なしだ。
もっと彼女と触れ合いたい――。
「んんうっ!?」
そう思ったときには、ヴィラに唇を奪われていた。
「……ずっと我慢してたの。早くあなたとこうしたい、って」
ヴィラが恥ずかしそうに頬を染める。
「俺もだ――」
今度は俺から彼女の唇を吸う。
そうやって濃厚な口づけを交わし、そして――。
しばらくの時が過ぎ、俺たちはバルコニーで並んで風に当たっていた。
火照った体に風が心地いい。
「俺……考えていることがあるんだ、ヴィラ」
「考えていること?」
首をかしげる彼女を、俺はまっすぐに見つめた。
彼女がハッと息を飲むのが分かる。
俺が何を言おうとしているのか、察したのだろう。
「俺、暴風王を会ったときに言われたんだ。人間のまま、ヴィラに寄り添って生きることはできない、って」
俺はあらためて思い出す。
奴の言葉を。
そして、その言葉を受けて自分がどうしたいと思ったのかを。
だから、正直に――ヴィラに打ち明けることにした。
「考えるまでもない簡単な話だよな。人間と魔族じゃ寿命が全然違うんだから。だけど、俺は……そのことを考えないようにしていた。事実から目を背けていた。その事実と向き合うのが怖かったんだ……」
「あたしも……」
ヴィラが悲しげに首を振る。
「たとえ、悲しい別れが待っていても……いえ、必ずそのときが来るからこそ、かけがえのない今を大切にしたい、って」
「確かにそれはそうだ。けれど、俺は――それだけじゃ嫌なんだ」
俺も首を振る。
だけど、そこに込められた感情は悲しみじゃない。
運命に抗おうとする強い意志。
俺自身の――固い決意。
「長命の種族と通常の寿命の種族……その二つが交わり、つかの間とはいえ想いを交わし、そして別れる――異種族の婚姻には必ず待っている運命……なんて言葉で片付けたくない。片付けさせない。だから――」
俺はヴィラに告げる。
「俺、魔族になるよ」
ヴィラが目を見開いて俺を見つめる。
俺は迷わない。
揺らがない。
一番大切なことは、人間であり続けることじゃないから。
大切な女性と、ともに歩み続けることだから。
だから俺は。
新たな一歩を踏み出すんだ――。
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