14 戦いを終えて
「すまない。暴風王を斬るしかなかった」
俺はヴィラに謝った。
「手加減できる相手じゃなかった……殺さずに捕らえた方がよかったのかもしれないけど……」
「謝る必要はないわ。暴風王が残した装置があるはず。それを調べれば、あたしを殺そうとしたのかどうかは、すぐに分かる。それに――」
ヴィラはライゼルをにらみ、
「彼の息子が生きている。暴風王の企みは、その息子から聞き出せばいい」
「なるほど……」
いや、それ以前に暴風王は彼女の叔父だ。
俺にとっても義理の叔父にあたる。
とはいえ――生かしていい相手じゃない、とも感じた。
叔父と姪との関係とはいえ、奴は明らかにヴィラを殺そうとしていたんだから。
たとえこの場で奴を許したとしても、将来また彼女を狙ってくるだろう。
そして次の魔王の座を手に入れようとする――。
やはり、殺すか殺されるか……というやり取りしかできない。
殺伐としているが、それが魔界のルールなんだろう――。
「気に病まないで。ああしなければ、あたしもあなたも殺されていた」
ヴィラはそう言って俺に顔を近づける。
「あなたは、あたしを助けてくれたのよ」
言って、彼女の唇が俺の唇に重ねられた。
俺たちはしばらくの間、口づけを続けていた――。
「これから大変になると思う。でも、なんとか魔界を建て直してみせる。そして人間界の魔王国も――」
ヴィラが言った。
「一人で抱え込まないでくれ。俺が側にいる」
「……うん、頼りにしてる」
俺にしなだれかかるヴィラ。
俺はそんな彼女の顔を上向け、また唇を重ねた。
何度でも――ずっとこうしていたい。
「あのー……あたしもいるんですけど、いちおう」
「えっ!?」
し、しまった。
暴風王との戦いや、その後のヴィラとのやり取りに神経を集中していて、完全に失念していた。
……いや冷静に考えると、ライゼルもいたな。
うん、失念しすぎだ、俺。
「あわわわ……」
見れば、ヴィラも同じだったらしく真っ赤な顔をしている。
「あーあ、さっきからずーっとイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャ……」
アーニャは不満げに言った。
「……まったくだ」
ライゼルまで不満げだった。







