13 必殺聖剣
聖剣ファリアレイダを使った奥の手、天候操作。
それは数日前に聖剣を使う訓練の中で、偶然見つけた能力だ。
雷撃をまとった斬撃を放つ際、曇天を召喚していることに気づき、ファリアに聞いてみたところ、
「今の君の能力は、どうやら天候に影響を与えられるようだ」
という返事があった。
ファリア自身も驚いていたし、かつての俺には使えなかった能力であることは間違いない。
とはいえ、自由自在に使いこなせるというわけじゃない。
天候を操作して雷撃を召喚する――。
今のところ、これが俺の使えるほとんど唯一の天候操作術だ。
これによって生み出した雷撃剣の威力は、まさしく桁違い。
ただし、撃てるのは数日に一度……といったところだが。
ともあれ、今は出し惜しみをしている状況じゃない。
俺にとって最大の必殺技を、今こそ放つ――。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおっ!}
暴風王を守る無数の竜巻――何十層にも及ぶそれらを、聖剣に宿った雷撃がすべて斬り裂いていく。
さらに斬撃のエネルギーはそのまま暴風王本体をも斬り裂いた。
「あっ、がぁぁぁぁぁぁっ……!」
ざんっ……!
体を真っ二つにされた暴風王はついに倒れ伏した。
「シオン――」
暴風王を倒すのと同時に、ヴィラを拘束していた竜巻が消え去った。
地面に降り立った彼女は俺に向かって駆け寄ってくる。
「ケガはないか、ヴィラ」
俺は彼女を抱きしめた。
「うん、平気……」
言いながら、彼女は俺の胸に頬を擦りつけてくる。
いい匂いがした。
このままずっと抱き合っていたい気分だ――。







