12 対決のとき
「優勢といっても暴風王は油断できる相手じゃない。ライゼルと連携されたら厄介なことになる可能性がある」
「りょーかい!」
アーニャはライゼルの方に向かっていった。
「お、おい、俺は関係ないだろ」
「あるよ! いざとなればお父さんに助太刀しようとしてるでしょ!」
「ぐっ……俺を舐めるなよ!」
ライゼルが槍を構える。
そこから神速の突きを繰り出してきた。
「これが俺の本気の突きだ! 反応はおろか、見ることさえ……ぶべらっ!?」
「おっそーい!」
さすがはアーニャだ。
氷雪魔法をまとわせた剣でその槍を凍らせ、砕き、そのままライゼル自身を叩き伏せた。
「はい、大勝利~!」
「ぐっ……つ、強い……」
……別にライゼルが弱かったわけではない。
ただ、アーニャの実力はさすがに高い。
魔王の側近を務めているのは、伊達ではないのだ。
「よくやった、アーニャ」
これで俺は暴風王との戦いに専念できる。
「おのれ……我が息子ながら無能な」
暴風王は歯ぎしりした。
「我が最大最強の『風』を持ってお前をつぶす!」
暴風王が叫んだ。
ごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ……!
奴の周囲に無数の竜巻が出現した。
「ひ、ひえええええええ……ちょっとやりすぎぃぃぃ……っ!?」
ライゼルが一瞬にして空のかなたまで吹き飛んでいく。
「ふん、役に立たない息子など生かしておく必要はない。そして貴様らも――」
怒りの形相で叫ぶ暴風王。
もはや完全に逆上している様子だった。
そっちが『力』でもって叩き潰しにくるなら――俺も迎え撃つまでだ。
「ファリア!」
「我が力の全てを君に預ける――勇者よ!」
ここが勝負どころだ。
俺はすべての『力』を聖剣に注ぎこんだ。
ごごご……ごご……。
空一面が曇天に覆われる。
無数の雷光が降り注ぐ。
「馬鹿な!? 天候を操作する能力だと――」
「聖剣の力を全開にした奥義だ、くらえ――」
俺は天から降り注ぐ雷を剣にまとわせた。
雷鳴が響く中、暴風王に向かって輝く聖剣を一閃する――。







