11 看破
「罠? なんの罠があるというのだ?」
暴風王は動じない。
「そんなふうに言われるのは心外だな」
俺は答えない。
奴のペースには乗らず、ただジッと奴を見据えている。
俺たちの間で緊張感がたかまっていく。
「どうした、罠があるなら言い当ててみろ。黙ったままでは分からんぞ」
暴風王がなおも告げるが、俺は答えなかった。
返答できないわけじゃない。
ただ、『待って』いるのだ。
と、
「――見つけた」
言ったのはアーニャだった。
いきなり剣を抜き放つと、魔力の刃が暴風王の足元に炸裂した。
「あれは――?」
目立たないように隠してあったようだが、そこには魔力弾の小型発射台が設置してある。
「こ、これは護身用の――」
言いながら、うろたえを隠し切れない暴風王。
「……俺たちの隙をついて魔王を殺すつもりだったんだな?」
「言いがかりだ!」
「なら、その装置を調べさせてもらう。照準は魔王に向けられていないか? 魔王を殺すために最適化された魔力弾を生成するように作られていないか? 調べれば分かるよな?」
「っ――!」
暴風王が絶句した。
「やましいところがなければ、調査に応じられるはずだ」
俺は前に進み出た。
「どうなんだ、暴風王?」
「おのれぇっ!」
暴風王が俺たちに向かって竜巻を放つ。
「――それがお前の答えか」
俺はすかさず聖剣を抜いた。
一閃。
ばしゅっ……!
竜巻を斬り裂き、俺はアーニャの前に立つ。
「アーニャ、君はライゼルを頼む。暴風王は俺が抑える」
「えっ、一人で?」
「さっきの戦いだって、俺の方が優勢だっただろ? 大丈夫さ。それよりライゼルを無力化しておいてくれないか」
俺はアーニャに言った。