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10 俺の返答は


「もしお前がそれを望むなら、人間から魔族に転生する儀式を施してやろう。ワシ自らな」

「お前が……?」


 俺は思わず眉をひそめた。


「我らが魔王にして我が姪の夫となる男だ。ワシ自ら手を貸そうでは」

「随分と好意的だな」


 急に歩み寄られると、どうしても警戒心が先に立ってしまう。


「もとより敵対する理由などない。お前はワシを抑えるほどの力を示した。あとは『種族の違い』という最後の壁を超えるのみ。それも転生の儀式を経れば解決する」


 暴風王が哄笑した。


「さあ、シオンとやら……我らが一族となるがよい」


 俺は無言だった。


 やはり暴風王からは信用ならない気配を感じるからだ。


「分かった。魔族になるよ」

「シオン!?」


 ヴィラが叫んだ。


「やめろ! 暴風王の言葉を鵜呑みにするな!」

「いや、俺が魔族になって君と同じ種族として同じ時間を歩んでいく――それ自体は合理性がある」


 俺は彼女に言った。


「そうかもしれないが、簡単に決めていいことじゃない!」

「簡単に決めたわけじゃない。前から薄々と感じてはいたことだ」


 俺は微笑んだ。


「やっと答えが見えた、ってことさ」

「シオン……」


 ただし、その前に一つ解決しなければならないことがある。


「最後に一つ聞かせてほしい」


 俺は暴風王を見据えた。


「俺が魔族になったとして――お前のメリットはなんだ?」

「……何?」


 暴風王はわずかに眉をひそめた。


「貴様、何が言いたい……」

「お前が手放しに俺や魔王のメリットになることをするとは思えない、ってことだ。必ずなんらかの企みがある――」


 俺は暴風王を見据えた。


 たとえ『魔族になる』という選択肢自体は飲んだとしても――。


「俺は、お前の罠には乗らない」

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