7 暴風王の試練
「試す?」
眉をひそめる俺。
暴風王は傲然と顎をしゃくり、
「その前に魔王様――あなたに手出しをされないために、ここに入っていただく」
びゅうううううううっ……!
突然、猛風が吹き荒れた。
風は渦を巻き、ヴィラを取り囲む。
「なっ……!? こ、これは――」
風の渦に捕らわれた彼女が空中に浮かび上がる。
「う、動けない……っ」
竜巻に拘束されたような状態だ。
「くくく、あなた様を無力化するために、ずっと開発してきたものですよ。いくら魔王様といえど、その牢獄から抜け出すのは簡単じゃない」
暴風王が勝ち誇った。
「ヴィラを離せ!」
俺は叫んだ。
聖剣ファリアレイダを抜く。
「よくもヴィラちゃんを……!}
隣ではアーニャが同じく剣を抜いていた。
「ふん、ワシと戦う気か?」
暴風王は笑った。
「説明の手間が省けたな。これこそが試練よ」
「……何?」
「お前にとって魔王様は妻となる。その妻を守るだけの力量があるかどうか――」
暴風王の目がぎらついた。
「魔界最強を自負する、このワシが試してやる!」
「上等だ――」
俺は闘志を燃え上がらせた。
試練だろうとなんだろうと、ヴィラをこのままにしておけない。
「お前を倒して彼女を救う!」
「むん!」
暴風王の全身から無数の竜巻が飛んでくる。
「きゃああぁぁぁっ!?」
アーニャはあっけなく吹き飛ばされてしまった。
かなり遠くまで飛ばされたから、ここまで戻ってくるのに時間がかかるだろう。
「いちおう邪魔者は片付けておく」
アーニャも最強クラスの力を持つ魔族だというのに、まるで子ども扱いとは――。
さすがに魔界最強の実力者といわれるだけのことはある。
「さあ、お前ひとりでかかってくるがいい、人間」
「最初からそのつもりだ!」
叫んで、俺は突進する。
「速い――!?」
暴風王の声に焦りの色がにじんだ。
「はあああああああああっ!」
一閃。
俺の斬撃が暴風王の右腕を斬り落とした。