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4 嫉妬とイチャイチャ

「なあ、あいつと知り合いなのか」


 俺はモヤモヤした気持ちを抱えながら、ヴィラにそっと耳打ちした。


「ライゼルは暴風王の息子だ」


 ヴィラが耳打ちを返す。


「私にとっては従兄にあたる」

「そうなのか……」


 だから旧知の仲というわけだ。

 従兄妹どうしなら、まあ当然か。


「私を娶り、自分が魔界の王になる――奴が考えそうなことだ」

「……迫られてたりするのか?」

「昔からな。奴は私に執着しているようだ」

「昔から――」


 ますますモヤモヤした。


「ん、もしかして嫉妬か?」


 たちまちヴィラの顔がにやけた。


「い、いや、違うって」

「ふふん」

「だ、だから違うから……」


 言いながら、俺はたじろいでいた。


 まあ、本当は思いっきりヤキモチ焼いてしまってるからな。


「ふふ、シオンがあたしに嫉妬してくれるなんて」


 ヴィラはすっかり上機嫌で、俺と二人っきりのときの口調になっている。


「心配しないで。彼とはなんでもないから。手も触れたことないよ」

「そ、そうか」

「あ、手を触れるくらいはあったかも」

「な、何っ!?」

「う・そ」


 ……冷静に考えたら、従兄妹同士で手が触れ合うことくらいなら、あり得るよな。

 自分でも驚くほど動揺してしまった。


「嬉しい。でも、嘘はよくなかったね。ごめんなさい」

「いや、いいんだ」


 言って、俺は小さくため息をつく。


「俺……自分で思ってるより嫉妬深いのかな。今の話くらいで動揺するなんて」

「あたしは嫉妬してくれて嬉しいよ」


 ヴィラが目を細めた。


「あたしだってシオンに他の女の影がちょっとでもあったら、すごく嫉妬すると思う」

「そうなのか?」

「……ないよね?」


 いきなり不安げになるヴィラ。


 脳裏に、かつて俺に告白してきたティアナのことが浮かんだ。

 魔王軍との戦いで精いっぱいだったから、断ったわけだが――。


「あーっ、即答しない! 心当たりあるんだ!」


 ヴィラが叫んだ。


「???」


 ライゼルが不審そうにこちらを振り返った。


「あ……」


 ヴィラはバツが悪そうに口元を押えた。

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