7 魔王竜との再会
俺はヴィラ、アーニャとともに話をしていた。
魔界で何やら怪しい動きがあるという、かつての魔王候補の一人――『暴風王』のことだ。
「私は一度、叔父上――いや『暴風王』に会いに行こうと思う」
「魔界まで、か?」
「そうだ。結婚の報告もあるし、シオンの紹介をしたいから一緒について来てくれるとありがたい」
と、ヴィラ。
俺は即座にうなずき、
「当然だろ。君と一緒に行くさ」
「ありがと」
ヴィラが微笑む。
「あー、いま目と目で会話した!」
アーニャが叫んだ。
「ラブラブだ……ぐぬぬぬ」
「いや、その」
俺は返す言葉が浮かばず、照れてしまった。
「あ、そうだ、出発の前に魔王国の防備を整えていった方がいいな」
と、話題を変える。
「らぶらぶ……らぶらぶ……」
「ヴィラ?」
「らぶらぶ……そっか、他人からはそう見えるんだ、ふふふ」
「ヴィラ」
「はっ! べ、別に浮かれてないし!」
ヴィラは慌てたように言い放った。
俺とヴィラは魔王竜のもとへ出発した。
二人で例の飛行用魔道具に乗り、空を進む。
魔王竜バッシュには竜牙兵の訓練をしてもらっている。
兵たちを魔王国の防衛に利用するためだ。
「定期報告によると、訓練はかなり進んでいるみたい」
ヴィラが言った。
「順調だって言ってたよ」
二人っきりなので、彼女の口調は普段のものに変わっている。
「それは心強いな。俺やヴィラの留守中に人間たちが攻めてこないとも限らないし……竜牙兵には防衛力として期待してる」
「だね」
しばらく飛んだあと、俺たちは魔王竜の元にたどり着く。
だだっ広い荒野で、竜牙兵の訓練場としてヴィラがバッシュに与えた場所だった。
事実上、バッシュの領地のようなものだ。
「久しぶりだな、バッシュ」
「あ、シオンさん!」
魔王竜バッシュは人間形態に変身し、俺たちのところに駆け寄ってきた。