5 真実を知って
「えっ……い、今なんと仰いました……? あの方が、生きて……えっ……?」
「シオンは生きている。この間、俺たちは魔王軍と交戦した。そして、その場にシオンが現れた」
パーシバルが説明する。
「あ……あああ……」
メリーアンはその場に崩れ落ちた。
涙があふれだす。
あふれて止まらなくなる。
「生きてた……シオンが……ああああああ……」
――ひとしきり泣いて、気持ちが少し落ち着いたところで、パーシバルが話を再開した。
「だけど、話にはまだ続きがある。勇者が生きていて、めでたしめでたしってわけじゃないんだ」
「えっ」
「心して聞いてくれ。シオンは今――魔王とともにいる」
「シオンが……魔王と?」
メリーアンはキョトンとした。
理解が追い付かない。
「どうやら篭絡された様子だ」
パーシバルが苦い顔をした。
「シオンが……つまり、別の女と……?」
「魔王は絶世の美女。シオンとて一人の男……蕩かされても不思議じゃない」
「っ……!」
メリーアンの中で怒りが燃え上がった。
それは、たった今までティアナたちに抱いていた怒りとは違う。
それを圧倒し、彼女の心すべてを燃やし尽くすほどの激しい嫉妬の炎だった。
「メリーアン、お前は勇者シオンを慕っていたのだろう。お前の想いが通じれば、シオンをこちらに呼び戻せるかもしれない」
「シオンを……」
メリーアンがつぶやく。
そうだ、彼は騙されているだけだ。
魔王に何か精神操作系の魔法でもかけられたのだろう。
ならば、それを救い出すのは自分の役目だ。
そしてシオンは、本当に愛すべき女性が誰なのかを知るだろう。







