21 自分の気持ちに向き合って
「ご、ごめんね、シオン! 遅くなっちゃって!」
俺が聖剣ファリアレイダ――ファリアに相談していると、ヴィラが部屋に戻ってきた。
「お、私は消えた方がよさそうだ。さあ、聖剣ごと異空間に戻してくれ」
ファリアが言った。
「上手くやるんだぞ、鈍感勇者」
「鈍感言うな」
「では、健闘を祈る――我が相棒」
言って、ファリアは嬉しそうに笑った。
どうやら、バディという響きが本当にお気に召したらしい。
「ありがとう、ファリア。けど鈍感は余計だ」
「では朴念仁と言い直そう」
「言い直しても、褒めてないじゃないか」
「ならば、私に褒めてもらえるよう、ちゃんと彼女へのアフターケアをしておくんだ。いいな?」
「お前、本当に人間みたいなこと言うよな……」
俺は肩をすくめ、それから聖剣自体を異空間に収納した。
それから、あらためてヴィラに向き直る。
「えっと――お帰り、ヴィラ」
「た、ただいま……さっきは本当にごめんなさい」
ヴィラが謝った。
「どうしていいか分からなくなって、その……アーニャに相談してたの」
「アーニャに……ああ、友だちなんだっけ」
「うん、幼なじみで親友」
ヴィラがこくりとうなずいた。
「アーニャに相談して……自分の気持ちをちゃんと伝えないとだめだ、って気づいたの」
「自分の気持ちか……」
「うん、恥ずかしいけど、がんばって言うね。まず、あたしはシオンと結婚することを嫌だなんて思ってない」
ヴィラが俺を見つめた。
「もちろん、戦略的な意味がきっかけだけど、それだけじゃないよ。あたし……まだ出会って日が浅いけど、それでもあたしは……あなたが」
俺はごくりと息をのんだ。
彼女の次の言葉を、緊張しながら待つ。
「す、好き……なんだと思う。こんな気持ち初めてだから、戸惑ってるし……これが恋なのか、どうなのか……じ、自信がないけど……」
言いながら、ヴィラはどんどん顔を赤くする。
ああ、本当に可憐だ――。
俺はそんな彼女を見ながら、心をときめかせていた。
「だから――お願い、えと……その」
「ん?」
「あなたが、あたしと……もしも、同じ気持ちなら……」
ヴィラが俺に詰め寄る。
「キスして……っ!」
「へっ?」
いきなりヴィラがド直球を投げこんできた。







