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17 魔王になでなで

 結婚式は二か月後に決まった。


 魔王――一国の王ともなれば、準備に色々とあるのだそうだ。


「あの『暴風王』も動きを見せると思うの。その対処も必要ね」


 ヴィラが言った。


 今は二人っきりなので、普通の女の子のような話し方だった。


「……というか、結婚するんだし、今後はみんなの前でも普通に話してくれていいんじゃないか?」


 と、提案する俺。


「そうね……あ、でも、やっぱり魔王としての威厳とかあるし」


 ヴィラが首を振った。


「威厳か」

「日ごろから地道にイメージを積み重ねてるのよ、あたし」

「そんな努力をしてたのか」

「えっへん」


 胸を張るヴィラが、妙に可愛らしい。

 俺は思わず彼女の頭を撫でてしまった。


「あ……」

「ど、どうした? 嫌だったか?」

「違うの。胸がきゅーんとして」


 ヴィラは嬉しそうに俺を見つめている。


「もう一回、して」

「あ、ああ」


 ヴィラって結構甘えたがりなのかな……?

 戸惑いつつ、俺はもう一度彼女の頭を撫でた。


「ふふ、気持ちいい」

「そうなんだ?」

「自分で自分の頭や髪に触れても何も感じないけど、シオンに触れられてるとゾクッとする」

「ゾクッとか……」

「あ、悪い意味じゃないからね」


 慌てたようにヴィラが言った。


「どきどきする、ってこと。えへへ、やっぱりこの気持ちって……………………恋?」

「えっ」

「あ、ううん、なんでもないっ」


 ヴィラがぶんぶんと首を左右に振る。


「こ、これはあくまでも戦略的な意味での結婚だもんね。勘違いしてたらシオンに迷惑かかっちゃう」

「ヴィラ……?」

「大丈夫、あたしわきまえてるからっ」


 なんだか情緒不安定なヴィラが心配になる。


「大丈夫なのか、ヴィラ?」

「平気平気。あ、ちょっと外で頭冷やしてくるね」


 言うなり、部屋を走り去っていくヴィラ。

 あっという間の出来事だった。


「???」


 あとに残された俺は半ば呆然としていた。


「いくらなんでも気持ちが不安定すぎるな、ヴィラは……どうしたんだろう?」


 うーん、俺はどうしたらいいんだろう。


「そうだ……あいつに聞いてみるか」


 俺はふと思い立って聖剣を召喚する。

 聖剣の意志の具現化である青年――ファリアが俺の前に現れた。


「……本当に分かっていないのか、君は」


 事情を話したとたん、ファリアがため息をついた。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 段々内容が薄くなっている様な気がする
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