15 王女の行方
SIDE パーシバル
「一体、どこに行ったのだ、メリーアンは」
パーシバルは深いため息をついた。
妹であり第一王女でもあるメリーアンが行方不明になって、二日が起つ。
その間、魔王軍討伐任務があり、あまりそちらに構えなかったのだが――。
残念ながら討伐任務は失敗に終わり――完膚なきまでの敗走となった――パーシバルは面目丸つぶれで戻ってくることになった。
「勇者が生きていたことにも驚いたが、まさか魔王と組むとは……いや、そこまで予測して然るべきだったか……」
うなるパーシバル。
勇者パーティのメンバーは美女ばかりで、正直浮かれた気分で参加したところはあるのだが、そんな浮ついた気持ちは完全に吹き飛んでいた。
勇者は、今や恐るべき敵だ。
彼の剣技、そして魔法。
おそらく一軍をもってしても攻略は難しいだろう。
もともと世界最強レベルの魔法剣士ではあったが、今の勇者シオンはそのレベルをも超越しているような気がする。
なぜ、あれほどの強さを手に入れたのかは分からないが……。
「あるいは、魔王に魂を売ったか……? そしてさらなる強さを得た……?」
あり得る話だ。
「だとすれば、シオン殿――いや、シオンはもはや勇者にあらず」
パーシバルがシオンを討てば、今度は彼が世界から勇者と呼ばれることになるかもしれない。
「くくく、それも一興――と、それはそれとして、メリーアンのことだ」
千々に乱れがちな思考を整える。
「メリーアンはティアナたちと懇意にしていたな……まずは彼女たちに聞くか」
「ティアナ、我が妹メリーアンのことで聞きたいのだが」
ティアナを訪ねると、彼女は青ざめた顔になった。
「ん、どうかしたか?」
「い、いえ、メリーアン様がどうかなさったのですか?」
「ああ。実は情報を伏せてあるのだが……君になら言っても構わないだろう」
と、パーシバルはメリーアンが二日前から行方不明であることを告げた。
「まあ、そんなことに……!」
ティアナが息をのんだ。
「……おいたわしい」
「おいおい、死んだような口ぶりはよしてくれ。縁起が悪い」
「あ、いえ、その……そ、そうですね。もちろん。万が一があっては、と思い、その……失礼いたしました」
ティアナが慌てたように言いつくろう。
「ティアナ……?」
パーシバルはその態度に不審を覚えた。
彼女は、何かを隠している――?







