12 勇者VS勇者パーティ2
俺は聖剣ファリアレイダを掲げた。
「これは警告だ」
宣言した上で、
「【天雷の一閃】」
勇者専用の攻撃スキルを発動する。
ばりばりばりっ、ごうっ……!
天空から降り注いだ稲妻が剣の刀身に宿り、そのエネルギーを増幅して放つ。
すさまじい衝撃波と爆風が吹き荒れた。
ティアナたちやその後ろの兵士たちに当たらないよう、別方向にぶっ放した一撃。
大地が大きく裂け、えぐれ、いくつものクレーターが出来上がる。
「な、なんなのよ、それ……!」
ティアナが目を見開いていた。
「魔王との戦いのとき、そんな力はなかったはず――」
「ああ、なぜか俺の力は以前よりもかなり上がっている。こんなの、完全に破壊兵器だよ」
俺は彼女を見据えた。
「こいつをお前たちに向かって撃ちたくない――撃たせるなよ」
目に力を込める。
ある程度は脅さなければ、警告にはならないからな。
あまり本意じゃないけど、ここは脅しの一手だ。
これから先の、平和のために――。
俺の目論見通り、彼女たちは引き上げていった。
もし向かってくれば、俺が【天雷の一閃】を今度はまともに食らわせると悟ったんだろう。
いや、実際にそんな局面になって撃てたのかどうか、俺にも分からない。
ただ、結果的にこれ以上の戦闘を回避して追い払えたのはよかった。
俺はヴィラと一緒に、魔王用の執務室に戻った。
「ありがとう、シオン。お前のおかげで人間の軍を簡単に追い払うことができた」
「あれ以上の犠牲を食い止められてよかった。そこまでに出た犠牲は……残念だった、けど」
「ああ。彼らの死は無駄にしない」
言って、ヴィラがうなずく。
「……二人っきりだし、普通に話すね」
「えっ? ああ……」
「シオン、一つ聞いてほしいことがあるんだけど――」
ヴィラが顔を上げた。
「不快に思うかもしれないけど、最後まで聞いてもらってもいい?」
「ヴィラが無意味に他人を不快にさせるとは思えないし、遠慮なく話してくれ」
俺は微笑んだ。
「じゃあ、言うね。あたしの考え」
ふうっ、と息を吐き出すヴィラ。
一体、何を話すつもりなんだろう。
「あたし、思ったんだけど――」
彼女の瞳が俺を見つめる。
まっすぐに。
その瞳は動揺を示すように揺れ、うっすらと涙が浮かんでいるようにさえ見えた。
「ヴィラ……?」
「あたし、シオンと結婚したい」
「………………………………はい?」
唐突すぎる求婚に俺は固まってしまった。







