3 尋問
俺とヴィラは王城の地下にやって来た。
ここには罪人を捕えた牢が並んでいる。
それぞれ魔王であるヴィラの魔力がたっぷりと込められた牢獄で、並の魔族が脱出できるような代物ではなかった。
さっき捕らえた魔族も牢の中でおとなしくしている。
逃げられない、と悟っているのだろう。
あるいは、いずれ殺される、と諦めているのか。
ヴィラは看守に断りを入れてから、牢の中に入った。
俺もそれに続く。
「――今から尋問を行う。看守、少し外してくれるか」
と、看守を下げさせ、魔族に向き直るヴィラ。
「お前に聞きたいことがある。正直に答えるんだ」
「……もし、答えなかったら?」
「私の口からそれを言わせるのか?」
ヴィラがニヤリと笑う。
ばちっ、ばちっ……!
彼女の全身から雷光がほとばしった。
さすがに――すさまじい魔力だ。
とはいえ、ヴィラに拷問の趣味はないだろう。
あくまでも脅しのようだ。
「ひっ……」
脅しは十分に効果を発したらしく、魔族は震えあがった。
「任務に失敗したお前は、どのみち主の下に戻れば殺されるんだろう? なら、ここで話して魔王に保護を求めるのが得策じゃないか?」
俺が横から言った。
「……そう、だな」
魔族はため息をつく。
たぶん、彼の中で結論は出ていたんだろう。
牢に捕らわれてから、ずっとそのことを考えていたんだと思う。
だから、俺の今の言葉は単なる後押しである。
そして、尋問が始まった。
といっても、捕らえた魔族の方も協力的なので、比較的サクサクと進む。
「まず、お前の主の名前から聞かせてもらおうか」
ヴィラが言った。
「……その前に確認ですが、本当に私の命は助けてもらえるのですね?」
「ああ。魔王ヴィラルヅォードの名に懸けて約束する」
ヴィラがうなずいた。
「……で、では」
魔族はまだ怯えた様子で、重い口を開く。
「私の主は――ライオネルヅォール様です」
「……!」
ヴィラの顔色が変わった。
「どうした、ヴィラ?」
耳打ちする。
「そのライオネル……なんとかって奴は」
「……叔父だ」
ヴィラが苦々しい顔つきで言った。
「『暴風王』ライオネルヅォール――先代魔王の弟であり、私の叔父でもある。魔界最強と呼ばれる実力者さ」







