1 勇者なき勇者パーティ、出撃1
【10.14追記】
感想でいただいたご意見を参考に、内容を少し修正しました(お話の大筋は変わっていません)。
指摘してくださった方、ありがとうございます……!
「魔王軍を討つ……?」
「はっ、陛下もご存じかと思いますが、私たちが討伐した魔王ヴィラルヅォードは、実はまだ生きているという情報があります」
ティアナが王に進言する。
「これは由々しき事態――ですが、魔王はまだ万全ではありません」
「復活したとはいえ、ダメージは残っているようです」
「この機を逃さず追撃をかけ、今度こそ完全に討伐するのがよいかと」
カトレア、イングリット、ユーフェミアが口々に提案する。
「――ふむ。余の下にも当然その情報は入っておる。魔王が生きていたというのは、少なからず衝撃だ。現在、その討伐のための軍を急ぎ編成しておった」
王はティアナたちを見つめた。
「――とはいえ、高位の魔族との戦いにおいては集団よりも突出した個の力が重要となる。当然、戦力の要はお前たちだ」
王の目がスッと細められた。
まるでティアナたちを値踏みするように。
「勇者シオンはすでにいない。お前たちを中心にした戦力で魔王を倒せるのか?」
「もちろんです」
ティアナが進み出た。
「私とカトレア、イングリット、ユーフェミアを中心にして、後は個人として戦闘能力の高い人材をいただきたく……どうかご許可願います」
「ふむ。お前たちにその自信があるならば――いいだろう」
うなる王。
と、そこへ、
「へえ……じゃあ、俺も一緒に行ってみたいな」
現れたのは二十歳そこそこの青年だった。
「パーシバル……王子……!」
秀麗な顔立ちに、王族ならではのきらびやかな衣装。
「まあ……」
ティアナは思わず息をのんだ。
素敵――!
彼女の好みのまさにど真ん中である。
「君が勇者とともに魔王を討った聖騎士か。噂以上の美しさだ……お近づきになれて光栄だよ」
パーシバルはティアナの手を取り、その甲に軽くキスをした。
とくん、と胸がときめくのを感じる。
パーシバルはさらにカトレア、イングリット、ユーフェミアにも順番に手を取ってキスをしていった。
「王子よ、お前が部隊に加わりたいと申すか」
「これは世界の命運を決する戦い。ならば、ぜひ私も」
パーシバル王子が父王に向き直る。
「これでも剣の腕には自信があります。魔法も少々たしなんでおりますゆえ」
「……ふむ。ティアナ殿たちはどう思う? 我が息子ながら、それなりの実力はあると思っているが」
「それなりどころか――」
ティアナは興奮に声を上ずらせた。
「パーシバル王子といえば、稀代の英雄ではありませんか。ご一緒できるなら、これ以上の喜びはありません……!}
熱を込めて、告げる。
もちろん、戦力としての大きさはある。
が、それ以上にパーシバルにほとんど一目ぼれしている自分を感じていた。
もし同行してくれるなら、精いっぱいアピールして絶対落としてやる――。







