14 呪物を整理する
俺はヴィラやファリアとともに宝物庫に移動した。
「『邪悪の宝剣』に『崩壊の弓』、こっちは『滅殺宝玉』か……」
ヴィラが次々に呪物らしきものを取り出す。
「そ、そんなにあるんだ……」
「魔王国に存在する呪物はだいたいここに集めてあるの。当然警備は厳重よ」
説明するヴィラ。
「よし、これで全部。異空間に収納してもらえる?」
「了解だ」
ファリアは集められた呪物をすべて異空間へと送りこんだ。
「私の役目もこれで終わりだな。では」
と、慌ただしく帰っていく。
後には俺とヴィラだけが残された。
「本当にありがとう、シオン。とりあえず、さっきみたいに呪物や呪詛兵器なんかが奪われる心配はなくなったと思う」
「よかった」
それから俺はふと気づいた。
「なあ……さっきからずっとその話し方だな」
「えっ? あ、その、やっぱり変……かな? 魔王の話し方に戻した方がいい?」
ヴィラが恥ずかしそうな顔をする。
「そんなことないよ。普段の話し方もいいけど、今の話し方も可愛いぞ」
「~~~!」
あ、またヴィラが真っ赤になった。
戦いのときはあんなに凛々しいのに、こういう話題だと初心なんだな……。
そんなところも可愛らしいと感じる。
あれ?
俺、ヴィラのこと――自然と『可愛い』って思えるようになってるな。
「じゃあ、二人っきりのときは普通に話すね」
今がヴィラにとっての『普通』ということは、やっぱり『魔王モード』のときは意図的にああいう口調にしてるんだな。
「でも、恥ずかしいから、他の人の目をちょっとでも感じたら、魔王の話し方に戻すからね」
「ああ、分かった」
俺はにっこりとうなずく。
「……シオン、妙に嬉しそうじゃない? やっぱり変かな、あたし……?」
「そうじゃないよ。さっきも言った通り、可愛いなって思って」
……いかん、これだとまたお互いが照れるループだな。
「もう、シオンったら」
ヴィラがはにかんだように笑った。
「他にも相談したいことがあるんだけど、とりあえずコーヒーブレイクにしない?」
「いいな」
「じゃあ、あたしが淹れるね。ささ、どうぞ」
俺はテーブルへと案内された。
ヴィラが淹れてくれるコーヒーはものすごく美味しいからな。
楽しみだ。







