13 あらためて、呪詛兵器について
「よし、話題を戻そう」
「そ、そうね……ごめん」
「い、いや、俺の方こそ……」
俺たちはまたうつむいてしまった。
い、いかん、これでは永遠に話が進まない……。
「あのっ」
顔を上げると、ちょうどヴィラも顔を上げたところだった。
互いの視線が正面からぶつかる。
間近で見ると、本当に美人だ――。
し、しまった、また照れが……。
「え、えっと、話を……進めるねっ」
ヴィラが耳元まで真っ赤になりながら語った。
「あ、ああ、呪詛兵器をどうするかだよな」
俺たちは顔を見回せる。
照れくさい気持ちはまだ残ってるんだけど、それでも少しずつ冷静さが戻ってきた。
あらためて――呪詛兵器というのは、厄介だ。
炸裂すれば広範囲に呪詛をまき散らし、人を呪殺するだけじゃなく、土地自体を長期間汚染してしまう。
だから、どこかに捨てるという選択肢は取れないし、無害な場所で炸裂させるという方法も取りづらい。
一番確実なのは、呪詛を完全に浄化して無力化すること。
ただし、これにも腕のいい神官が長期にわたって浄化儀式を続けることが必要となる。
短期間で浄化するのは、まず無理といっていいだろう。
そんな厄介な呪詛兵器をどうやって処分すればいいのか。
と、
「あ、そうだ」
俺はふと思いついた。
聖剣を召喚する。
「シオン……?」
「この聖剣が普段は異空間に収納されてるって、前に説明したよな?」
「う、うん、聞いたよ」
言って、ヴィラがハッとした顔になる。
「もしかして――」
「呪詛兵器もその異空間に入れておいたらどうかな、って。それなら誰にも手が出せない」
説明する俺。
「そんなことが可能なら、だけどな。どうなんだ、ファリア?」
聖剣に宿る存在――ファリアを呼び出す。
彼は少し考えた後、
「結論から言うなら、可能だ」
そう告げた。
異空間の収納スペースはおおよそ平民の一軒家くらいだという。
この黒いオーブくらいなら余裕で入ることになる。
「じゃあ、呪詛兵器を置いてもいいかな? どうだろう」
「私はかまわないぞ」
ファリアは快諾してくれた。
「ありがとう、ファリア!」
こうして、呪詛兵器の件はあっさりと解決する。
「というか、この際だ。他にも危険な呪物などがあるなら、一緒に収納したらどうだ?」
ファリアが提案した。
「えっ、でもお前の居場所だろ?」
「まあ、聖剣の安置場所だが……私は全然気にならないぞ?」
と、ファリア。
「むしろインテリアが増えて嬉しいくらいだ」
「嬉しいんだ……」
ファリアの趣味はよく分からん。