表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/122

12 口づけの余韻は

 俺とヴィラは引き続き彼女の私室で話していた。


「やっぱり、呪詛兵器をこのままにはしておけないよな」

「……そ、そうね」

「もっと警備の厚い場所に移した方がいいんじゃないか?」

「……そ、そうね」

「ん、ヴィラ?」


 さっきから上の空っぽい返事だな……。

 そう思って彼女を見つめると、


「っ……! あわわわわ」


 ヴィラが慌てたように視線を逸らした。


 顔が真っ赤だった。


 ――やっぱり、さっきのキスに照れているんだろうか。

 まあ、俺もめちゃくちゃ恥ずかしいんだけど。


「さ、さっきは、その」

「ご、ごめんね、気分が高ぶって、ああいうことになったんだよね?」


 ヴィラがますます慌てたように両手を振った。


「あたし、別に勘違いしたり、付きまとったりしないからっ……シオンだって、あたしなんかじゃ迷惑だよね……?」

「えっ? えっ?」

「あ、愛の告白的な行為じゃないって分かってるから……」


 ヴィラがうつむく。

 その横顔は悲しげだった。


「いや、その……」


 俺は言葉に詰まる。

 けど、ここははっきりと言っておくべきだろう。


「流れとか、雰囲気とか、いい加減な気持ちで君にキスをしたわけじゃない」

「っ……!」

「君を信じたいと思ったし、君ともっと深く心を触れ合えたら、ってそう思ったんだ。だから、あとは――夢中で」

「……あたしも、夢中だった」


 ヴィラがぽつりとつぶやく。


「シオンと、もっと近づきたいって思って……気が付いたら、顔を近づけて……キス……してた」


 言って、また顔を赤らめるヴィラ。


「ああ、もうっ、恥ずかしいよぉ……初めてだったのに……ぃ」

「えっ」

「ファーストキスよ、悪いっ?」


 ヴィラが俺を軽くにらむ。


「い、いや、悪くなんて……ないよ」


 俺は驚きつつも言った。


「可愛い」


 言ってから、俺は照れてしまった。


「~~~~!」


 ヴィラも声が出ない様子で、めちゃくちゃ照れているらしかった。


 うう、なんだこの空気は……。

 呪詛兵器の今後の対応について話そうと思ったのに、とてもそんな雰囲気じゃなくなってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して
★★★★★にしていただけると作者への応援となります!


▼コミカライズ連載中です!(漫画:えびど~先生) お気に入りやコメントいただけると嬉しいです!▼


ziijnnz431v4raji2tca3fijcq9_o6n_nc_xc_jzab.jpg

▼コミック2巻、9/19発売です!▼



ziijnnz431v4raji2tca3fijcq9_o6n_nc_xc_jzab.jpg

▼書籍版、発売中です!(書影クリックで公式ページに飛べます)▼



ziijnnz431v4raji2tca3fijcq9_o6n_nc_xc_jzab.jpg


▼カクヨムの新作です! こちらもよろしくです~!▼

敵国で最強の黒騎士皇子に転生した僕は、美しい姉皇女に溺愛され、五種の魔眼で戦場を無双する。


― 新着の感想 ―
[一言] (灬´ิω´ิ灬)好きです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ