表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

118/119

14 浄化の一閃

 斬るんじゃない。


 この聖なる光で、彼女を蝕む呪いを浄化するんだ。


「うぐっ……! あ……ああ……やめ……て……」


 イングリットの体から声が漏れる。


 それは悲鳴とも苦悶ともつかなかった。


 聖剣が触れた部分から浄化の光が流れ込んでいく。


 バキ、バキバキッ……!


 悪鬼の鎧に無数の亀裂が走り始めた。


 その亀裂から黒い瘴気が噴き出す。


 次の瞬間、


 しゅううっ!


 その瘴気が聖なる光に触れて霧散していく。


 同時に、イングリットの瞳から冷たい光が薄れていくのが分かった。


「シオ……ン……?」


 憎悪と殺意に満ちていた瞳に、戸惑いの色が浮かぶ。


「なんで……。ボク、ここに……」


 か細い声でうめくイングリット。


「大丈夫だ。もう、大丈夫だから」


 俺は彼女に語りかける。


 さらに聖剣に力を込めると、浄化の光が最大限にまで高まった。


 パリィィィィィィィィィンッ!


 甲高い音がした。


 悪鬼の鎧はガラス細工のように砕け散った。


 その中から一人の少女が現れた。


 ボロボロの服をまとっているが、元のイングリットの姿だった。


「……シオン……」


 彼女の頬に涙が伝う。


 そのまま意識を失い、崩れ落ちた。


 俺はイングリットの体を抱き止めた。


「……よかった。殺さずに済んだ……」


 思わず安堵のため息が漏れた。


 ――と、そのとき、


「シオン、上だ!」


 聖剣からファリアの声が響いた。


 えっ……?


「次が来るぞ! まだ終わらん!」

「!」


 俺はハッとして顔を上げた。


 背後の魔王城、その上空の一点が禍々しく歪んでいた。


 空が――ねじれて裂けていく。


 その向こうから、三つの影がゆっくり降臨する。


 黒い鎧。

 赤い鎧。

 白い鎧。


「お前……たちは……!」


 俺は呆然と降り立った影を見つめた。


 かつて、俺と共に旅をした仲間たちだ。


 そして、俺を裏切った仲間たち。


 だが、その姿はイングリットと同じだった。


 聖騎士ティアナも。

 大聖女カトレアも。

 極魔導師ユーフェミアも。


 全員が、異形の戦鬼へと変貌していた。


「イングリットがやられたみたいね……」

「構いませんよ。わたくしたちがやります」

「シオン、私たちがここで始末する」


 三人が言い放った。


 感情がいっさい抜け落ちたような冷徹な声だった。

コミカライズ版、ニコニコ静画様にて最新話が無料公開されました! 下記のバナーをクリックすると漫画のページに跳べますのでぜひ! お気にいりやコメントしていただけると大変助かります~! なにとぞ!


また、コミック1巻が好評発売中&コミック2巻が9月に発売予定です! 広告下のリンクから販売サイトのリンク一覧に飛べますので、ぜひ! コミック書き下ろしもあります!

2巻の方も予約受け付けが始まってますので、ぜひ~!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して
★★★★★にしていただけると作者への応援となります!


▼コミカライズ連載中です!(漫画:えびど~先生) お気に入りやコメントいただけると嬉しいです!▼


ziijnnz431v4raji2tca3fijcq9_o6n_nc_xc_jzab.jpg

▼コミック2巻、9/19発売です!▼



ziijnnz431v4raji2tca3fijcq9_o6n_nc_xc_jzab.jpg

▼書籍版、発売中です!(書影クリックで公式ページに飛べます)▼



ziijnnz431v4raji2tca3fijcq9_o6n_nc_xc_jzab.jpg


▼カクヨムの新作です! こちらもよろしくです~!▼

敵国で最強の黒騎士皇子に転生した僕は、美しい姉皇女に溺愛され、五種の魔眼で戦場を無双する。


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ